2026年5月11日
※文化時報2026年3月27日号の掲載記事です。
先日、NHKの教養番組「先人たちの底力 知恵泉(ちえいず)」の収録に行ってきました。歴史上の人物が残した「知恵」を手がかりに、そこから現代を生きる私たちが何を受け取るのかを語り合う番組です。

今回取り上げられたのは、大関和(ちか)(1858~1932)。日本初の看護婦養成所の一期生として専門的な知識と技術を身につけ、当時は下働きのように見なされがちだった看護の仕事を、社会に欠かすことのできない「専門職」として確立することに尽力した人物です。その歩みは、看護という仕事の意味を変えただけでなく、女性の地位という意味でも時代を動かした一歩だったのではないかと思います。
収録は終始、心地良い雰囲気の中で進みました。セットが「居酒屋」という設定だったことも、リラックスできた理由の一つでしょう。出演者の安藤なつさんとは「お久しぶり!」でしたし、作家の田中ひかるさんは博識のうえに気配りの方で、おかみ役の藤井彩子アナウンサーの滑らかな采配のもと、まったくもって女子会のような盛り上がりでした。収録後は、みんなで写真を撮り、LINEを交換し、再会を誓い合う。そんな楽しい時間となりました。
改めて、日本のナイチンゲールとも称される大関和の人生をたどると、教えられるというより、舌を巻くことばかりです。相当な変わり者でもあったのではないでしょうか。
あの時代に離婚し、シングルマザーとなり、2人の子どもの子育てはほぼ他人任せだったという一説もあります。
それをやってしまった本人もすごいけれど、それを支えた周囲もまたすごい。突出した人というのは、往々にして常識といわれる世間の横並びからも飛び出しているものです。それを叩(たた)き潰(つぶ)すのではなく、支える人がいたからこそ、大業を成し遂げることができたのでしょう。人が人を支え、また別の人の力になる。そうしたつながりの中で、時代は少しずつ動いていくのかもしれません。
番組の趣旨に照らして、私が受け取ったこと。自分が突出することはできなくても、せめて、芽吹こうとするものを摘む側には回るまい。突出した人を叩くのではなく、その芽を守る側でありたい。
お時間が合いましたら、ぜひご覧ください。放送予定は、本放送が3月31日(火)午後10時~10時44分(NHKEテレ)。再放送が4月7日(火)午後1時50分~2時34分です。