2026年6月18日
※文化時報2026年5月15日号の掲載記事です。
台湾で、大甲媽祖遶境(たいこうまそにょうきょう)に参加してきました。

大甲媽祖遶境は、台中の大甲鎮瀾宮(たいこうちんらんきゅう)の媽祖様が、嘉義(かぎ)の新港奉天宮(しんこうほうてんきゅう)まで往復約340キロを9日間かけて巡る大行列です。数百万人が参加する、台湾最大級の巡礼でもあります。
参加者は、神轎(しんきょう)と呼ばれる神輿(みこし)の前後を歩きながら、交通安全や家内安全など、それぞれの願いを胸に抱いて進みます。沿道の香案(こうあん)では線香を手向け、手を合わせます。まさに、巡礼です。
出発の3日前から潔斎に入り、道中も含め終点まで精進食で過ごします。また、出発時には全身新しい服で参加すること、1度参加したら3年続けて参加することなど、細かい約束事があります。
とはいえ、そこは台湾。往復340キロの過酷さとは裏腹に、悲壮な空気はまったくありません。大音量の音楽あり、耳をつんざく爆竹ありで、お祭り騒ぎも織り込み済みです。
参加の仕方もさまざま。出発から終点まで徒歩で歩き切る人もあれば、自転車やバイクで参加する人もいます。また、途中参入、途中離脱も自由。今風に言えば、ガチ勢からお気楽参加まで、それぞれのスタイルが許されています。年代も実に幅広く、乳母車に乗せられた赤ちゃんから、10代20代の若者、80代90代の高齢者まで参加していました。
共通しているのは、誰もが媽祖神を心から慕っていることです。台湾の人は、媽祖様が好き過ぎる。「媽祖LOVE」というロゴもあちこちで目に入り、その熱量は、まるでアイドルに熱狂するかのようです。
そして、近い。神は天にいるのではなく、隣にいます。一緒に歩き、一緒に苦しみ、一緒に喜んでいる。それを、肌で感じ続けた9日間でした。
あの熱狂の渦から帰国し、すでに来年に向けてのトレーニングに入りました。今回は足の裏全体にまめができるというひ弱さを露呈してしまいましたので、まずは強固な足づくり。そして、余裕がなくなったときにこそ、人に情けをかけられる。そのための、強靭(きょうじん)な心づくりです。