2026年5月22日
ある高齢者住宅入居相談事業者が、母を入居させたいと考えている娘さんに複数のホームを案内しました。

1件目のホームはお昼の食事の時間でした。介護スタッフがご飯をスプーンですくって車椅子の入居者の口にせっせと運んでいます。
2件目もすぐ近くでしたので食事の様子を見学できました。同様に介護スタッフがスプーンで入居者の口に食事を運んでいます。
2件訪問した後で、娘さんが言いました。「値段も、建物の雰囲気も同じような感じですね。正直どちらでもよいと感じました」
それに対して、同行した相談事業者は「1件目はあまりお勧めしません。2件目の方がお母さまは満足されるでしょう」と断言しました。
1件目と2件目の違いは、スタッフが持っていたスプーンにありました。1件目のホームは、カレーライスを食べるときのような大きなスプーンを使っていたのです。
食事の量が同じ場合、大きなスプーンを使えばすくう回数は少なくて済みます。つまりスタッフの食事介助の時間は短くなります。
しかし、入居者からすれば一度に多くの量の食事を口に運ばれるわけですから、噛んだり飲み込んだりするのが大変です。誤嚥(ごえん)を起こす可能性も高くなります。
「大きなスプーンは入居者よりもスタッフの都合や効率性を考えたもの。そうしたホームは介護サービス全般において効率性だけを追求したものになりがち」というのが、紹介事業者の見解でした。
「プロは、そんな細かいところまで見ているのですね」と驚く娘さん。そこに相談事業者が放った一言が強烈でした。
「でも、1件目のホームも食事をしているところを見せるだけ良心的です。本当に質の悪いホームは、食事を見学させてもくれませんから」