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話せば気持ち変わる 「生僧談」記者が体験

2026年4月15日

※文化時報2026年3月6日号の掲載記事です。

 自死・自殺問題に取り組む超宗派の宗教者らでつくる「京都いのちの日宗教者プロジェクト実行委員会」は2月15日、臨済宗妙心寺派大本山妙心寺塔頭(たっちゅう)の長慶院(京都市右京区)で、身近な悩みを僧侶に相談できる「ちょっと聞いてヨ!おもいッきり生僧談(なまそうだん)」を開いた。僧侶に悩みを明かすと、どのような変化があるのか。記者も秘密にしていたことを、打ち明けさせてもらった。(河本菜摘子)

解決はしなくても

 会場の客殿で待っていたのは、同実行委員会の小坂興道住職と、真宗高田派妙華寺(津市)の中川結幾副住職、浄土真宗本願寺派明専寺(山口県長門市)の安部智海住職。落ち着いた雰囲気の中でお茶とお菓子が用意され、和やかに「いらっしゃい」と迎えてもらった。

(画像アイキャッチ兼用:和気あいあいと相談に乗ってくれた小坂興道住職、中川結幾副住職、安部智海住職(左から))
和気あいあいと相談に乗ってくれた小坂興道住職、中川結幾副住職、安部智海住職(左から)

 しばらく会場の様子を見守っていると、「よかったらあなたも話してみる?」と言われ、思いがけず私も「僧談」させてもらうことになった。

 私にはここ1年、誰にも話せていなかったことがあった。もはや悩みとさえ呼べない「どうにもならない」気持ちだ。友人が怪しい会社に入ってしまい、自分とどんどん距離ができた。そんな悲しみを、素直に打ち明けた。

 「うーん、つらいね」と口火を切ったのは安部住職。そこから3人は真剣に、しかし重すぎることもなく、私がつらつらと話していくのを受け止めてくれた。友人との思い出や、今の寂しさをつたない言葉で語るうちに、今日出会ったばかりとは思えない温かな空気を感じることができた。

 「離れていても、心で思うことはできるよ」。そんな小さな解決策がすっと心に入ってきたのは、とりとめのない私の話をしっかりと聞いてくれたからだ。状況は話す前と変わっていないし、これからもそう変わらないだろう。ただ、まさか誰かに話すことはないと思っていたことを聞いてもらったことで、気の持ち方は前向きになった。

双方向につながる

 相談会は2024年3月1日の「京都いのちの日」に行った自死・自殺防止を訴える街頭行進「LifeWalk」の一環として始まった。啓発だけにとどまらず、つらい気持ちを抱える人と双方向の関係を築いていくために企画した。

 法律や医療などは具体的な問題解決しかできないが、宗教は多様な悩みを受け止められるのが強みだという。これまでの相談は介護や人間関係に関する悩みが多く、2年間で約30人が参加した。

 発起人の小坂住職は「何気ない居場所としてお寺を活用してほしい。近すぎず遠すぎない関係だからこそ話せることがある」。安部住職は「お寺や宗教者がもっと身近な存在になってほしい。実際に来られなくても、いざというときに話せる場があることを知っておいてもらえたら」と語る。

 悩みを持たずに生きている人はいない。心の中で抱えていることを家族でも職場や学校でもないお寺でそっと話してみると、答えは出なくても、心に少し余白ができるのかもしれない。

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