2026年4月29日
※文化時報2026年3月17日号の掲載記事です。
単身で暮らす「おひとりさま」の老後と障害のある子の「親なきあと」について考えようと、鹿児島市の浄土真宗本願寺派妙行寺(井上從昭住職)は2月28日、トークイベント「縁起でもない話をしよう会」を開いた。一般社団法人とこしえ鹿児島の弓削遵子代表理事と岩切ひろみ理事が登壇。当事者や家族、支援者ら約30人が参加し、講演や語り合いを通じて学びを深めた。
縁起でもない話をしよう会は、医療・福祉関係者と地域住民が死や人生の終わりといった普段話せないことを語り合う地域交流イベント。妙行寺が発案し、2018(平成30)年に始めて今回で36回目を迎えた。大阪府東大阪市の医師らのグループなど、県域や職種を超えて広がっている。
続いて弓削代表理事が「親なきあと」について解説。住まい、支援、お金の順に考えるよう求め、それぞれのポイントを伝えた。成年後見制度=用語解説=に関しては「安易に使うことはおすすめしない」と述べ、「正しい知識が人生を支える。知ることで正しい選択を」と語りかけた。

このあと、参加者らは3~4人ずつに分かれ、もし自分が「おひとりさま」だったら終末期医療をどう考えるか―などをテーマに語り合った。井上住職は「何度も学び、語ることが大切。妙行寺がそういう場をつくっていきたい」と話した。
とこしえ鹿児島は2025年4月に設立され、同年秋から本格稼働した。「おひとりさま」の老後と障害のある子の「親なきあと」を、考え方が同じで地続きの課題であると捉えた上で、両方をサポートすることを目指している。
具体的には、電話や訪問で親子一緒に安否確認を行う「見守りサービス」のほか、財産管理委任契約、任意後見契約、死後事務委任契約=用語解説=などを行う。
理事3人はいずれもファイナンシャルプランナー(FP)の資格があり、さらにそれぞれ専門を持っている。弓削代表理事は、社会保険労務士と行政書士で、自身も障害のある子の母親。「これからも専門性にこだわり、活動を広げたい」と話している。
【用語解説】成年後見制度(せいねんこうけんせいど)
認知症や知的・精神障害などで判断能力が不十分な人に代わり、財産の管理や契約事を行う人(後見人)を決める制度。家庭裁判所が選ぶ法定後見と、判断能力のあるうちに本人があらかじめ選んでおく任意後見がある。支援対象を限定し、必要がなくなれば途中で利用を終了できる方向で見直しが検討されており、法制審議会(法相の諮問機関)の部会が2026年1月、民法改正の要綱案をまとめた。
【用語解説】死後事務委任契約
自分が亡くなった後に必要な手続きを、第三者に委任する契約。医療費など各種料金の支払い、行政への届け出、葬儀・埋葬に関する事務などを前もって頼んでおく。主に司法書士や弁護士、行政書士などが扱う。