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支援つなぐ「親なきあとノート」アプリ開発へ期待

2026年5月3日

※文化時報2026年3月27日号の掲載記事です。

 障害のある子の「親なきあと」に備えるため、支援者に伝えたいことを親が記入する紙のノートについて、一般社団法人デジタル終活推進協議会(柴田駿理事長)がアプリを使ったデジタル化を検討している。ニーズを調べるアンケートを行ったところ、家族の75%、支援者の81%がデジタル化を有効だと考えていることが分かった。まずは年内にも、自動で回答する人工知能(AI)を使ったチャットボットを導入し、当事者や家族の相談窓口をつくる方針だ。(主筆 小野木康雄)

デジタル終活推進協議会が行ったアンケート結果の発表会=東京都内
デジタル終活推進協議会が行ったアンケート結果の発表会=東京都内

 親なきあとは、障害のある子やひきこもりの子が親に面倒を見てもらえなくなったあと、どう生きていくかという社会課題。健康や生活、コミュニケーションなどを巡る本人の情報を、支援者が親から引き継ぐことが有効とされる。このため、エンディングノートのような「親なきあとノート」を、大阪府八尾市などの自治体や障害者家族団体、民間事業者が作成している。

 デジタル終活推進協議会は2023年11月、終活サイトの運営企業などが中心となって設立。全ての人の死後における悩みについて、デジタル化を通じた解決を目指している。25年度は日本財団の助成を受け、親なきあとノートに関するアンケートを実施。家族や支援者ら400人以上から回答を得た。

 それによると、親なきあとノートのアプリについては家族の75%、支援者の81%が有効と考えていた。期待できるメリットは「関係者との連携が可能になる」(24%)、「情報の整理・共有がしやすい」(23%)、「紙よりも更新や保管がしやすい」(20%)―の順に多かった。

(画像図:「親なきあとノート」のアプリに期待できるメリット)
「親なきあとノート」のアプリに期待できるメリット

 逆に課題や懸念する点は「セキュリティー面」(16%)、「データ消失のリスク」「料金・利用費用」(各15%)、「個人情報・プライバシーの保護」(14%)―などだった。

 親なきあとに備えていることを尋ねた設問では「情報収集」(30%)と「自立に向けた福祉サービスの利用」(20%)が多く、「特に準備していない」(14%)という回答も。「本人の意思や希望を書き残す工夫」は10%にとどまった。

 アンケート結果を受け、デジタル終活推進協議会は今年中に親なきあとノートのアプリ開発に向けた準備を開始。当事者・家族と支援者、士業などでワーキンググループをつくり、行政や国への要望・提言につなげる。また、医療・福祉や生活設計など具体的な悩みに応じるAIチャットボットを相談窓口として整備し、専門家や福祉施設、家族の知見を生かす。

 デジタル終活推進協議会の城谷龍弥副理事長は「親なきあとは将来への不安や悩みが大きく、個別性の高いテーマ。デジタルでの記録や情報共有が家族や支援者に役立つのか、引き続き意見を聴きたい」と話す。アンケートの詳細な結果は4月に同協議会のホームページなどで公表する。

暮らし方をイメージして

 デジタル終活推進協議会は14日、東京都内で「親なきあとノート」に関するアンケート結果の発表会を行い、自由記述欄から寄せられた親なきあとに関する質問に対して、当事者家族であり相談支援を行う専門家2人が回答した。

 登壇したのは「親なきあと相談室」を主宰する行政書士・社会保険労務士の渡部伸氏と、一般社団法人親なきあと相談室関西ネットワーク(大阪市東淀川区)代表理事の藤井奈緒氏。

(画像:渡部伸氏)
渡部伸氏
(画像:藤井奈緒氏)
藤井奈緒氏

 多岐にわたる親なきあとの準備のうち、「どれを優先したらいいのか」という質問に、渡部氏は「住まいによって、お金の備えなども変わる。どんな暮らし方をするのかをイメージすることが大事」とアドバイスした。グループホームなど家ではない場所で本人が暮らす場合、家族がどう関わるかについては、藤井氏が「親の知らない本人の姿もある。親の話を参考程度にして、支援を考えてもらうという距離感がいいのでは」と語った。

 支援のつながりに関しては、藤井氏が「災害時に備えていろいろな人にわが子の存在を知ってもらい、支援者の一人になってもらうことが大事」と強調。渡部氏は「本人が行ける場所をなるべく多くして、知り合いを増やすことが大切」と語りかけた。

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