2026年5月12日
※文化時報2026年4月7日号の掲載記事です。
真宗佛光寺派は3月17日、本山佛光寺(京都市下京区)で「僧伽(さんが)に学ぶ研修会」を開いた。浄土真宗本願寺派総合研究所(佐々木義英所長)の上級研究員・冨島信海氏が「いのちのつながりを見つめ直す」と題して講演。環境問題の視点から僧侶の担う役割を語った。

冨島氏は国際会議の報告書を基に、「地球温暖化による異常気象の増加や激甚化、資源や生態系への影響は、人間活動に大きな要因がある」と指摘。地球環境の悪化に対して社会の危機感が薄いのは、「環境負荷とその影響が可視化されにくい点に問題がある」と語り、利便性や合理性を優先してしまう我執の世の中に疑問を投げかけた。
また、環境問題は「未来世代の課題」ではなく、全ての人々が取り組むべきものだと強調。僧侶が担う役割を「社会が着目しない視点を仏教の役割から考え、既存の社会活動を再定義していくことだ」と説いた。
多くの寺院や団体が取り組む「子ども食堂」については「食材や生産者などに感謝するだけで終わらせず、バーチャルウォーター=用語解説=などについても考える場にはできないか」と提案。食物が食膳に届けられるまでのコストや命の循環を可視化することで、環境問題への学びが広がると訴えた。
【用語解説】バーチャルウォーター
農畜産物や工業製品の生産・輸出の過程で間接的に消費される水を数値化した概念。水資源の消費量を可視化して水不足問題を把握するために、英ロンドン大学のアンソニー・アラン教授が1990年に提唱した。日本では環境省がバーチャルウォーターを簡易計算できるサービス「仮想水計算機」を公開している。