2026年6月3日
※文化時報2026年4月24日号の掲載記事です。
真宗佛光寺派は9日、本山佛光寺(京都市下京区)で「僧伽(さんが)に学ぶ研修会」を開き、前回に続いて浄土真宗本願寺派総合研究所(佐々木義英所長)の上級研究員・冨島信海氏が登壇した。今回は葬送儀礼がテーマ。聴講者約30人と共に、僧俗協働で作り上げる葬儀の意義や法縁の大切さを考えた。

冨島氏は、伝統的な仏式葬儀の意義は、空間や状態を変えながら「臨終、通夜、出棺、葬列、葬場、火葬」の各場面で故人と向き合うことにあると強調。「人は、葬儀のプロセスを経る中で死の事実を厳粛に受け止めることができる」と語った。
また、社会変容に伴う葬儀の小型化や個人化によって、命を見つめ直す機会が失われ、地域一体のコミュニティーの構築が阻害されていると指摘。「葬送儀礼とは先人の遺(のこ)した知恵であり、見失ってはいけない営みだ」と述べた。
一方、こうした変化の要因には葬儀の場における僧侶への不信感もあると説明した。全日本葬祭業協同組合連合会が2022年、全国の葬儀事業者を対象に行った実態調査で、「横柄な態度」「寄り添いがない」などを理由とする僧侶への不満が全体の50%を占めていたことを紹介。布教・伝道を重視する僧侶と、故人への供養を強く望む遺族・参列者の意識に生じる乖離(かいり)が原因だと指摘した。
さらに、葬儀事業者の介入がなければ成立しない現代の葬送事情を踏まえ、「僧侶は生死に向き合う大切な機縁を共につくり上げていくという意識を持って、葬儀の工夫や供養の原義を考えてほしい」と呼びかけた。