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生き方見直す機会に Deathフェス、渋谷で開催

2026年6月8日 | 2026年6月9日更新

※文化時報2026年4月28日号の掲載記事です。

 死や終活をポップに捉えようと、一般社団法人デスフェスは11~16日、東京都渋谷区の渋谷ヒカリエで「Deathフェス2026」を開催した。「生も死もウェルビーイングに」をスローガンに、さまざまな団体・個人が座談会やワークショップ、ブース展示などを展開。オンラインを含めて6日間で約4500人が来場した。市川望美共同代表(53)は「本格的な多死社会を迎える中、生き方と終わり方を見直す機会になってほしい」と話す。(山根陽一)

(画像アイキャッチ兼用:渋谷ヒカリエで6日間開催された「Deathフェス」=15日、東京都渋谷区)
渋谷ヒカリエで6日間開催された「Deathフェス」=15日、東京都渋谷区

僧侶、宗教学者も出演

 「仏教デー」と名付けられた15日には、多くの仏教関係者が多彩な催しに出演した。

 浄土真宗本願寺派僧侶の江田智昭さんと日蓮宗妙円寺(東京都渋谷区)住職の本間大智さんは「言葉×仏教」をテーマに対談を行った。毎年話題になる「お寺の掲示板大賞」を取り上げ、仏教の死生観を解説した。

 「お前も死ぬぞ」という衝撃的なメッセージがテレビなどで注目を集め、「お墓参りはご先祖様とのオフ会」「私は今、多くの死者の上に立っている。そのことを忘れてはいけない」など、死にまつわる言葉が多く寄せられたことを指摘。「人生は長くて100年、体も財産もすべて借り物。いずれは世界にお返しするのだから、執着する意味はあまりないのでは」と問いかけた。

(画像:「言葉×仏教」をテーマに行われた対談)
「言葉×仏教」をテーマに行われた対談

 高野山真言宗僧侶で舞踊家の滝山隆心さんは、真言宗の瞑想(めいそう)法である阿字観をベースにした体験型ワークショップを行った。音と呼吸に合わせ、体を緩めていく手法で多くの若者が自身と向き合った。

 曹洞宗総合研究センターの研修生も参加し、普段実践する曹洞禅との共通点や違いを体感した。同研修生の押見大俊さんは「曹洞禅はあえて目的を持たないが、体と心を整える手法は似ている。どちらも自分を見つめ直す機会になる」と話した。

 浄土宗龍岸寺(京都市下京区)住職の池口龍法さんは「光の瞑想withヒーリングサウンド」と銘打ったワークショップを開き、映像作家が描く幻想的な阿弥陀如来像とおりんの優しい音色で参加者の心を包み込んだ。

(画像:「光の瞑想withヒーリングサウンド」)
「光の瞑想withヒーリングサウンド」

 一方、アカデミックデーと名付けられた13日は、宗教学の第一人者である島薗進東京大学名誉教授と哲学者の信原幸弘同大学名誉教授が脳、意識、宗教、社会などをテーマに対談した。昨年に続き登壇した島薗名誉教授は「死を手がかりに生きる意味を見いだそうとする面白い試み」とDeathフェスを評し、「生と死をひもづけることは、孤独に向き合うヒントになるかもしれない」と指摘した。

 他にも尊厳死や臓器移植、エンディングドレス、ペットの葬送、終活用のリフォーム、オンライン傾聴、入棺体験、手元供養の骨つぼなど、死と生に関するさまざまな解説や展示、体験プログラムが実施された。

ポジティブでパワフルに

 今年で3回目を迎えたDeathフェス。4月14日を語呂合わせで「よい死の日」として定着させようと、その前後に開催されている。公益財団法人仏教伝道協会などが協賛し、渋谷区などが後援した。

 元々は、多様な働き方を提案し東京都女性活躍推進大賞を受賞した市川共同代表と、東北大学理学部で宇宙地球物理学を専攻するなど科学や編集のフィールドで活躍してきた小野梨奈共同代表が企画。2024年に一般社団法人デスフェスを立ち上げて、第1回を開催した。

(画像:市川共同代表)
市川共同代表

 2人は「死=自然に還(かえ)る」という考え方に基づき、堆肥葬や海洋散骨など多様な葬送が生まれたことを契機として「死をどのように迎えれば、充実した生を生きられるか」を考え始めたという。

 Deathフェスは、死を自由に話せる社会の実現を掲げている。市川共同代表は「必ず訪れる死をタブー視せず、ポジティブでパワフルな影響を与えるようなフェスにしたい」と語る。

 来場者は1年目の約2千人から今年は約4500人に倍増。77%が初参加だった。年代は10~90代と幅広く、40~50代が半数を占める一方、20代が16.8%と一定数いることも分かった。

 アンケートでは「死や人生の終わりについて、誰かと話したい気持ちが強まった」との回答が多数寄せられたという。

 

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