2026年6月30日
※文化時報2026年5月22日号の掲載記事です。
高齢者の孤立を防ごうと、京都市南区の真言宗泉涌寺派城興寺(上原慎勢住職)が「シニアヨガ」と「シニア食堂」の定期開催に乗り出す。高齢者が楽しみながらお寺で健康になり、お互いに見守ってもらうことが目的だ。4月20日には約1年ぶりに開催し、約20人が参加。介護職や僧侶も手伝いに加わり、緩やかなコミュニティーが芽生えていた。(河本菜摘子)
座ったまま無理なく
本堂の「離れ」と位置付けた畳敷きの広間に椅子が約20脚、2列に並べられた。腰かけた高齢者を前に、ヨガ講師の惠上真由美さんが「無理はしないでください」と声をかけながら、ゆっくり手を挙げたり、上半身をひねったりする。参加者は惠上さんに合わせ、それぞれの体調や体力に応じて体を動かした。最後は目を閉じて呼吸を整え、心身をゆっくりと落ち着けた。

ヨガの後は5人程度のグループに分かれて昼食。テーブルを囲み、お寺特製のみそ汁と体にやさしいお弁当を味わいながら談笑した。
70代女性は「ここに来ると、居場所があるのだと実感する。みんなで体を動かせてすっきりした」と笑顔。別の参加者も「一人暮らしなので、みんなと顔を合わせられて楽しかった」と話した。
講師の惠上さんは、自身のけがや母親の介護経験をきっかけに、どんな人でも続けられるヨガを伝える活動をしている。「無理をせず自分のペースで体を動かすことで、心も軽くなる。人と一緒に取り組む時間が元気につながればうれしい」と語る。
世代超えてつながる
城興寺では子ども食堂も定期的に開催している。今回の参加者の中には、子ども食堂のボランティアとして関わる人もおり、お寺が世代を超えたつながりを生む場となっている。
上原住職は民生委員として、地域で一人暮らしをする高齢者の見守りに携わってきた。介護認定を受けていない高齢者は支援の手が届きにくく、居場所を持ちづらいことから、見守る側にとっても負担が少なく、見守られる側にとっても楽しみながら体のためになる取り組みとして、シニアヨガとシニア食堂を発案したという。

参加者が自然に集う居場所を設けることで交流の機会が生まれるだけでなく、顔を合わせること自体が安否確認や健康状態の把握にもつながる。また、「最近どうしていたの」と気軽に声を掛け合う関係が生まれ、お寺が日常的なつながりを支える場になっている。
シニアヨガとシニア食堂はコロナ禍が明けた2022年から不定期で実施していたが、次回は7月13日に開催。今後も約3カ月に1度のペースで行う。
交流から福祉支援に
シニアヨガとシニア食堂でもう一つ期待される役割が、専門職や支援者に気軽に相談できることだ。この日も昼食のテーブルに、介護士や保健師、僧侶らが同席。ふとした会話が健康相談になる場面もみられた。

日頃の体調や生活上の困り事について気軽に話せる場となることで、必要に応じて介護サービスや医療機関、地域福祉活動の紹介につながるケースもあるという。
普段は行政などに相談する機会が少ない高齢者にとって、顔なじみの人と一緒に安心した環境の中で専門職と接することができるため、不安や悩みを打ち明けやすい。
上原住職は「お寺が普段から人が集まり、支え合える場所でありたい。つながりが安心して暮らし続ける力になれば」と話している。