2026年7月16日
※文化時報2026年6月9日号の掲載記事です。
「宗教とジェンダーをめぐるモヤモヤを斬る!」と題したオンライン併用の座談会が5月27日、東京都内で開かれた。『お寺に嫁いだ私がフェミニズムに出会って考えたこと』(地平社)の出版1周年記念トークライブで、キリスト新聞社(東京都新宿区)が主催。松谷信司社長・編集長が司会を務め、著者の森山りんこさんと女性3人がそれぞれの立場から語り合った。

森山さんは伝統仏教の僧侶と結婚。寺になじもうと努力してきたが、ブログで自身の違和感を発信し、本を書いた。現在はうつ病の治療にも通っているという。「寺は閉鎖的で圧倒的な男性社会。根本的に女性を見下している」と強調し、「住職が守っているのは信仰ではなく、寺の建物。寺は楽しいと『キラキラ寺嫁』を演出する人もいるが、実態は全く違う」と訴えた。
西永亜紀子さんは浄土真宗本願寺派僧侶で、かつて僧侶と結婚していた。同じ僧侶でありながら「坊守」や「寺庭」は常に男性の補佐という役目に違和感を持ち離婚した。「寺族会でも不満を抱えながら我慢している人が多い。もっと他の宗教や宗派と交流し、宗教界の内情を語りあうべきだ」と主張した。
なまこクリームさん(仮名)はキリスト教会の牧師の妻で本人も牧師だった。閉鎖性に耐えられず今は教会から離れた。「神学校では人間は平等であると学ぶが、教会の内部は全く違うことに戸惑う。もっと人間関係のトレーニングをすべきだ」と力をこめた。
立教大学助教で伝統仏教教団の家族、ジェンダー問題を研究する丹羽宣子さんは「寺社会は社会と地続きで聖域ではない」とした上で「住職は自分たちが社会の一員と言う自覚が足りない」と語った。また、宗教が何千年も生き延びた柔軟性に言及し「急激な時代の変化に対応すれば、宗教は市場原理とは異なる価値観を提示できる」と提言した。
最後に森山さんは「宗教は決して偉くない。社会の一部だ」と力を込めた。