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障害者雇用へ意識改革 「ばんぜんの会」思い語る

2026年7月18日

※文化時報2026年6月12日号の掲載記事です。

 障害者福祉について学ぶ「ばんぜんの会」(竹中永健代表)は5月26日、大阪市天王寺区の区民センターで障害者雇用の課題を考えるセミナー「親の思い 支援者の思い」を開いた。自閉スペクトラム症のある息子2人を持つ「親なきあと」相談室関西ネットワーク(大阪市東淀川区)相談員の芳賀久和さんと、障害者雇用を目指す企業と当事者の橋渡しを行うReWel(リウェル、堺市堺区)代表取締役、豆夛(まめた)英志さんが登壇。当事者と企業双方の目線から障害者雇用を語り、親、支援者、企業の意識改革の必要性を確認し合った。(大橋学修)

雇用率達成が目的に

 話題は、絆ホールディングス(大阪市中央区)の傘下の4事業所が就労支援の加算金約150億円を不正受給したとされる問題から始まった。大阪市は事業者指定を取り消し、約79億円を水増し請求したとして、詐欺罪で4事業所の代表や元代表ら5人を大阪府警に刑事告訴。利用者の就業場所を繰り返し変更することで、障害者が企業で6カ月以上就業したときに報酬がもらえる仕組みを悪用したとされる。

 芳賀さんは、異なる企業に所属する障害者を一手に受け入れる就労場所「サテライトオフィス」に言及。障害者が雇用される環境ではなく、法定雇用率を達成する場として運用される傾向があると指摘した。また、就労支援施設への入所を「就職した」と捉える保護者がいることにも触れ、「就職する力をつけ、人の役にたってうれしいと思える仕組みになっていない」と話した。

 豆夛さんは、サテライトオフィスに丸投げする企業があることや、就労環境を整える負担よりも法定雇用率未達成のペナルティーを受けた方がいいと考える企業があることを問題視。「障害のある人を人材として見ていない。一方で多様な特性に合わせた支援も至難の業。知恵を出し合うことが大切だ」と力を込めた。

企業マッチングの課題

 就職先を考える上でのポイントにも話は及んだ。

 芳賀さんは、本人の性格や性質と企業文化が合うことの大切さを強調。就職先を探す支援者と企業が、本人の現状と就労する力を身に付けた後の状態を明確にした上で、マッチングすることが重要とした。

障害者雇用について語る芳賀さん(左)と豆夛さん
障害者雇用について語る芳賀さん(左)と豆夛さん

 加えて「親は、わが子の力を把握するのが難しい。家庭外では親のイメージと異なる力を見せる。支援者には、その点を留意してマッチングしてほしい」と語った。

 豆夛さんは、支援者に企業との交渉力を求めた。「企業のことも知らないと、高精度なマッチングはできない。障害者支援は国のお金で成り立つため、成果を上げても定額。支援者が育ちにくい」と分析した。

 親と支援者、企業の連携について、芳賀さんは「経済活動の中で活躍してもらうには、就職できればいいと考えるのではなく、親も支援者も意識改革が必要だ」と強調。豆夛さんは「企業、親、支援者が連携を密にしなければならない。当事者が戦力として認められ、本人が仕事をしたいと思えるようにしたい」と語った。

最初はビジネス目線

 ばんぜんの会が発足したのは、代表の竹中さんが認知症の人の成年後見人に任命され、高齢者が抱える問題に直面したことが契機。芳賀さんや豆夛さんらと共に、2015(平成27)年9月に発足させた。

 最初はビジネスを目的に始めたが、徐々に障害者福祉に関わる人が集まる勉強会になっていったという。

 竹中さんは、障害者支援で収益を得ることを肯定する。「必要とされるなら、ビジネスであっても実施すべきだ」と力を込める。

ばんぜんの会設立の経緯を説明する代表の竹中さん
ばんぜんの会設立の経緯を説明する代表の竹中さん

 宗教者の障害者支援についても期待を持つ。日蓮宗蓮昌寺住職の雄谷良成氏が設立した社会福祉法人佛子園(石川県白山市)の活動を例に挙げ、「宗教者は、使命を担った方々。思いがあるなら、支援に取り組んでほしい」と語った。豆夛さんも「福祉はもともと仏教から始まったこと。宗教者の動きは大切だ」と話している。

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