2026年7月20日
※文化時報2026年6月12日号の掲載記事です。
寺院の社会活動を支援する浄土宗ともいき財団(佐藤行雄理事長)は5月28日、東京都内で2026年度助成金交付式と25年度の活動報告を行った。26年度の助成金は前年度比431万円増の2431万円で77団体に交付。貧困対策や子ども食堂、介護者支援、災害支援など公益性の高い事業に活用される。(山根陽一)
同財団が行う現行の助成事業は今年で10年目を迎え、これまでの累計件数は547件、累計交付金額は1億4918万円に達する。佐藤理事長は「今年は交付金を求める応募が多く、選考に苦労した」と伝えつつ「成果を上げる団体が年々増え、今後も社会貢献の拡充につながることを願う」とあいさつした。

前浄土宗総合研究所所長で助成審査委員長を務めた今岡達雄氏は、社会が急速に変化する中で制度が追いつかない現状を指摘した上で「子どもや貧困層の居場所を寺院が確保することに社会的意義がある。こうした公益活動はやがて教化につながっていく」と力をこめた。
7団体が活動報告
交付式の後、7団体が活動を報告した。
西照寺(大阪市天王寺区)など多くの寺院で活動する一般社団法人日本寺子屋協会の堀内菜々美会長は、商店でのワークショップなど街中だからこそ可能な教育をアピール。
西方寺(滋賀県草津市)は「ともに生きる」をテーマにヨガや羊毛フェルトなどの創作活動を続けており、牧哲玄住職は「寺が止まっていてはいけない」と強調した。
西念寺(三重県伊賀市)は高齢者など「買い物難民」を支援する「お助け市」を実施している。報告者の白籏真里さんは「物品を提供する側も買う側もメリットがある関係を目指したい」と語った。

一般社団法人The Egg Tree House(東京都練馬区)の代表理事を務める蓮宝寺(同府中市)の小川有閑住職は、宗派を超えた寺院でのグリーフ(悲嘆)ケアについて報告。悲嘆を言葉にできない子どもには「アートや遊び、自然との触れ合いが効果的」と指摘した。
来迎院(熊本市西区)は発展途上国などの商品を適正価格で取引する「フェアトレード」の概念を多世代に伝えている。小川大心副住職は「伝統文化を通してモノの価値や生産される過程を想像する力をつけてほしい」と力をこめた。
介護者カフェが出発点のNPO法人ひだまりファミリーステーションは、平等寺(静岡県富士宮市)を中心に多世代共生の場づくりを推進している。岩田照賢住職は「さまざまな地域課題に向き合い、接点を広げたい」と話した。
銀山寺(大阪市天王寺区)は介護者や高齢者を対象に幅広い地域活動を展開する。末髙隆玄住職は「高齢者向けのスマートフォン教室は認知症予防に役立つ」と語りかけた。
今年は活動報告の後、活動領域ごとのグループトークを初めて実施し、活発な意見交換を行った。