2026年7月30日
※文化時報2026年6月23日号の掲載記事です。
障害者の雇用機会確保と一般就労への移行を目指す有限責任事業協同組合「ウィッシュ」(髙山愛子代表、京都市上京区)が発足し、6日に京都市内のホテルで設立総会が開かれた。京都市では初めてとなる特例算定事業協同組合=用語解説=の認定を目指しており、地域企業が連携して障害者雇用の障壁を打破する新たなモデルとして期待が集まる。髙山代表は「福祉的就労から一般雇用への道筋をつけ、障害者を取り巻く壁を取っ払いたい」と話している。(大橋学修)
同組合の最大の特長は、障害者雇用の必要性を感じながらも、単独での受け入れ体制が整わない中小企業が手を取り合う点にある。
組合員として参画した13社の中には、常用労働者37.5人以下で雇用義務のない中小企業も含まれている。各社が組合へ業務を発注し、障害者は受注業務を通じて職業能力を研鑽(けんさん)する。将来的には、業務を発注した企業への直接雇用を目指す仕組みだ。

組合設立と同時に、就労継続支援A型事業=用語解説=などを実施する株式会社「ウィッシュ」(同区)も発足。組合と同社が業務委託契約を締結することで、利用者は専門の就労支援員による手厚いサポートを受けながら、ビル清掃や車両メンテナンス、菓子製造など多岐にわたる実務に従事できる体制を整えた。
設立総会に参席した京都市身体障害者団体連合会会長の伊吹文明元衆議院議長は「皆が働きたい、頑張りたいと思える状況をつくってほしい」と期待を寄せた。

組合設立のきっかけは昨年5月、髙山代表も参加する京都中小企業家同友会のソーシャルインクルージョン委員会で、障害者の就労場所をもっと増やしたいと訴えたことだった。法定雇用が義務付けられた企業でも障害者の受け入れ体制がなかったり、障害者雇用をひとごとのように思っている状況に出会ったりしてきたという。
「それぞれの特性を生かして働くことができることを知ってほしい」。髙山代表の考えに賛同したメンバーが準備を進め、昨年10月に組合の設立登記を完了。翌月に株式会社ウィッシュも発足した。

背景には、髙山代表自身の苦い経験がある。かつて7店舗の遊技場を経営していた際、一部の従業員を「やる気がない」「怠けている」と厳しく断じていた。しかし、後に障害者福祉を学ぶ中で、それが本人の「特性」であった可能性に気付き、がくぜんとしたという。
「申し訳ないことをした。これから出会う人は必ず幸せにする。それが私の使命だ」
そんな髙山代表は、障害者が生きやすい社会をつくる上で、宗教者も参画してほしいと感じている。どこに何を相談すればいいのか分からない人が多いと感じているためだ。

「障害者手帳がなくても、医師の診断書か意見書があれば、役所から障害年金の受給者証が発行される」と話し、宗教者が行政や福祉につなげる存在になれると指摘した。その上で「あのお寺に行けばなんとかなるという頼れる場所であってほしい」と語った。
【用語解説】特例算定事業協同組合
2021年4月に施行された改正障害者雇用促進法に基づく事業協同組合。組合が雇用する障害者を、組合員として参画する企業が法定雇用率に算入できる。事業規模が小さく、障害者向けの仕事の切り出しが難しい企業が雇用を確保できるというメリットがある。
【用語解説】就労継続支援A型事業
障害者総合支援法で定められた就労支援サービスの一つ。通常の事業所に雇用されることが困難な障害者や難病患者らに対し、雇用契約を結んで就労・生産活動の機会や場所を提供したり、就労に必要な能力向上訓練などの支援を行ったりしている。