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苦難の中でどう生きる 福知山線事故被害者に学ぶ

2026年8月28日

※文化時報2026年7月21日号の掲載記事です。

 真宗佛光寺派は13日、本山佛光寺(京都市下京区)で「僧伽(さんが)に学ぶ研修会」を開き、JR福知山線脱線事故=用語解説=で負傷した小椋聡さん(56)と妻朋子さん(58)、被害者対応に当たった元JR西日本社員の髙本桂也さん(57)が登壇。人は苦難に遭う中でどのように生きるのかを語った。

画像アイキャッチ兼用:対談で脱線事故の経験を語る小椋さんと妻朋子さん、元JR西日本社員の髙本さん(左から)
対談で脱線事故の経験を語る小椋さんと妻朋子さん、元JR西日本社員の髙本さん(左から)

 通勤途中で事故車両の2両目に乗車していた小椋さんは、亡くなった人がどのような状況だったのか知りたいという遺族の願いに応えるため、朋子さんや生存者の女性と共に「最期の乗車位置」を調べる活動に乗り出した。ただ、仲間の女性はのちに自殺。ショックを受けた朋子さんは心を病み、双極性障害になった。

 小椋さんは、朋子さんが元に戻ることを願い続けたが、時間の経過と共に〝長い試練〟と受け止めるようになったという。「障害があっても、愛する妻であることには変わりない。受け止め直すことで、随分と楽になった」と語った。

 その上で「暗いトンネルの中を歩いているように感じたこともあった。私の経験を伝えることで、苦しんでいる人の助けになってほしいと願っている」と話した。

 髙本さんは事故後、生存した被害者の相談に応じる部署に配属されたが、気持ちを推し量りきれなかった経験から、先入観を持たないことの大切さや、発せられた言葉とは裏腹の思いがあることを痛感してきたことを伝えた。

 また、後遺症が残る被害者が遺族の身を案じる姿を見るなどしたことで、人生を切り開き自己実現に向かう人間の強さを感じるようになったと説明。「自分自身の人生を考えるきっかけになった」と回顧した。

 朋子さんは、髙本さんとの出会いについて「JR西日本の皮をかぶったような人ばかりいたが、髙本さんは一人の人として向き合ってくださり、自然と心を開くことができた」と振り返った。

 また「体や心に苦痛を抱える人には、この時を生きていることが素晴らしいことを知ってほしい。日常は、たくさんの奇跡の積み重ねであることを忘れないでほしい」と語りかけた。

 

【用語解説】JR福知山線脱線事故

2005(平成17)年4月25日午前9時18分ごろ、兵庫県尼崎市のJR福知山線塚口―尼崎間で、7両編成の快速電車が脱線。乗客106人と運転士が死亡、562人が重軽傷を負った。制限速度を大幅に超過したままカーブに進入したのが原因で、背景に余裕のないダイヤ編成やミスをした乗務員に課される懲罰的な「日勤教育」があったことなどが指摘された。

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