2026年6月20日
人手不足が深刻な介護業界では、以前に比べると人材採用の門戸を広く開いています。金髪など派手な髪色をした介護スタッフは珍しくありません。また最近では、ヒゲを生やしたりタトゥーをしていたりしていても働ける職場が増えてきています。

しかし、あまりにも門戸を開きすぎたために、介護の仕事に向いていない人が入社してしまうという「ミスマッチ」が多く発生しています。
ある老人ホームに若いスタッフが中途入社してきました。介護の仕事は全くの未経験です。当然ですが、まだ食事介助などの実務は担当させられません。介護に関する知識や技術などはこの先研修を行いますので、入社初日は職場の案内や1日の大まかなタイムスケジュールなどを説明するオリエンテーションが中心になります。
その中で指導担当スタッフは「まずは、1日でも早くご入居者さまの名前と顔を覚えましょう」と言いました。ところが、それに対して新入スタッフが驚くべき一言を発します。
「『名前と顔を覚える』という業務は私にとってプレッシャーです」
「それを『1日でも早く』と無理強いするのはパワーハラスメントだと思います」
そう言って、わずか1日で退職していきました。
50人にも満たない固定利用者の顔と名前を覚えるのは、介護に限らず対人サービス業なら当たり前でしょう。むしろ「技術も知識も何もないからこそ、顔と名前を覚えて積極的にコミュニケーションを図ることで職場に貢献しよう」という姿勢の人が介護現場では多いのではないのでしょうか。
「あの人がなぜ『対人サービス業に就こう』と考えたのか、いくら考えても理解できませんでした」と、指導担当スタッフは首をかしげていました。