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 同財団が行う現行の助成事業は今年で10年目を迎え、これまでの累計件数は547件、累計交付金額は1億4918万円に達する。佐藤理事長は「今年は交付金を求める応募が多く、選考に苦労した」と伝えつつ「成果を上げる団体が年々増え、今後も社会貢献の拡充につながることを願う」とあいさつした。

「公益活動はやがて教化につながる」と語る今岡氏
「公益活動はやがて教化につながる」と語る今岡氏

 前浄土宗総合研究所所長で助成審査委員長を務めた今岡達雄氏は、社会が急速に変化する中で制度が追いつかない現状を指摘した上で「子どもや貧困層の居場所を寺院が確保することに社会的意義がある。こうした公益活動はやがて教化につながっていく」と力をこめた。

 

7団体が活動報告

 交付式の後、7団体が活動を報告した。

 西照寺(大阪市天王寺区)など多くの寺院で活動する一般社団法人日本寺子屋協会の堀内菜々美会長は、商店でのワークショップなど街中だからこそ可能な教育をアピール。

 西方寺(滋賀県草津市)は「ともに生きる」をテーマにヨガや羊毛フェルトなどの創作活動を続けており、牧哲玄住職は「寺が止まっていてはいけない」と強調した。

 西念寺(三重県伊賀市)は高齢者など「買い物難民」を支援する「お助け市」を実施している。報告者の白籏真里さんは「物品を提供する側も買う側もメリットがある関係を目指したい」と語った。

活動報告の後、活動領域ごとに実施されたグループトーク
活動報告の後、活動領域ごとに実施されたグループトーク

 一般社団法人The Egg Tree House(東京都練馬区)の代表理事を務める蓮宝寺(同府中市)の小川有閑住職は、宗派を超えた寺院でのグリーフ(悲嘆)ケアについて報告。悲嘆を言葉にできない子どもには「アートや遊び、自然との触れ合いが効果的」と指摘した。

 来迎院(熊本市西区)は発展途上国などの商品を適正価格で取引する「フェアトレード」の概念を多世代に伝えている。小川大心副住職は「伝統文化を通してモノの価値や生産される過程を想像する力をつけてほしい」と力をこめた。

 介護者カフェが出発点のNPO法人ひだまりファミリーステーションは、平等寺(静岡県富士宮市)を中心に多世代共生の場づくりを推進している。岩田照賢住職は「さまざまな地域課題に向き合い、接点を広げたい」と話した。

 銀山寺(大阪市天王寺区)は介護者や高齢者を対象に幅広い地域活動を展開する。末髙隆玄住職は「高齢者向けのスマートフォン教室は認知症予防に役立つ」と語りかけた。

 今年は活動報告の後、活動領域ごとのグループトークを初めて実施し、活発な意見交換を行った。

 しかし、近年は高齢者住宅の数が増えているだけでなく「リハビリ特化型ホーム」「ナーシングホーム」など中身も多様化しています。ケアマネなどの専門家でも情報のアップデートが追い付かず「どこの高齢者住宅がベストなのか」を判断するのが難しくなっているのが現実です。

 そこで、老人ホーム紹介会社がケアマネなどの専門家と入居者本人・家族の間に入るケースが増えているのですが、それに伴いミスマッチなどのトラブルになるケースも多くなっているそうです。

 ある紹介会社が、入居検討者の家族とケアマネを連れて老人ホームを案内しました。紹介会社のスタッフは家族に対して「ここのホームに入居したら、在宅医はホームが指定する医師に切り替えなくてはいけません」と説明しました。

 実際にはそんな制限をホーム側で設けることはできません。在宅医が訪問できる範囲内であれば、入居者は在宅医を自由に選べます。ケアマネは「それは噓(うそ)です。間違った情報を教えないでください」と指摘したのですが、紹介会社からはとんでもない一言が返ってきました。

 「そんな堅苦しいことを言っていたら、どこのホームにも入れなくなりますよ」

 その言いようにケアマネは「二度と紹介会社なんか使わない」と憤慨していました。

 ちなみにケアマネの団体である公益社団法人大阪介護支援専門員協会によると、ケアマネの80%が有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅選びに際して、紹介会社を使った経験があるとのことです。ホーム選びに必須の存在だからこそ、賢く使いたいものですね。

雇用率達成が目的に

 話題は、絆ホールディングス(大阪市中央区)の傘下の4事業所が就労支援の加算金約150億円を不正受給したとされる問題から始まった。大阪市は事業者指定を取り消し、約79億円を水増し請求したとして、詐欺罪で4事業所の代表や元代表ら5人を大阪府警に刑事告訴。利用者の就業場所を繰り返し変更することで、障害者が企業で6カ月以上就業したときに報酬がもらえる仕組みを悪用したとされる。

 芳賀さんは、異なる企業に所属する障害者を一手に受け入れる就労場所「サテライトオフィス」に言及。障害者が雇用される環境ではなく、法定雇用率を達成する場として運用される傾向があると指摘した。また、就労支援施設への入所を「就職した」と捉える保護者がいることにも触れ、「就職する力をつけ、人の役にたってうれしいと思える仕組みになっていない」と話した。

 豆夛さんは、サテライトオフィスに丸投げする企業があることや、就労環境を整える負担よりも法定雇用率未達成のペナルティーを受けた方がいいと考える企業があることを問題視。「障害のある人を人材として見ていない。一方で多様な特性に合わせた支援も至難の業。知恵を出し合うことが大切だ」と力を込めた。

企業マッチングの課題

 就職先を考える上でのポイントにも話は及んだ。

 芳賀さんは、本人の性格や性質と企業文化が合うことの大切さを強調。就職先を探す支援者と企業が、本人の現状と就労する力を身に付けた後の状態を明確にした上で、マッチングすることが重要とした。

障害者雇用について語る芳賀さん(左)と豆夛さん
障害者雇用について語る芳賀さん(左)と豆夛さん

 加えて「親は、わが子の力を把握するのが難しい。家庭外では親のイメージと異なる力を見せる。支援者には、その点を留意してマッチングしてほしい」と語った。

 豆夛さんは、支援者に企業との交渉力を求めた。「企業のことも知らないと、高精度なマッチングはできない。障害者支援は国のお金で成り立つため、成果を上げても定額。支援者が育ちにくい」と分析した。

 親と支援者、企業の連携について、芳賀さんは「経済活動の中で活躍してもらうには、就職できればいいと考えるのではなく、親も支援者も意識改革が必要だ」と強調。豆夛さんは「企業、親、支援者が連携を密にしなければならない。当事者が戦力として認められ、本人が仕事をしたいと思えるようにしたい」と語った。

最初はビジネス目線

 ばんぜんの会が発足したのは、代表の竹中さんが認知症の人の成年後見人に任命され、高齢者が抱える問題に直面したことが契機。芳賀さんや豆夛さんらと共に、2015(平成27)年9月に発足させた。

 最初はビジネスを目的に始めたが、徐々に障害者福祉に関わる人が集まる勉強会になっていったという。

 竹中さんは、障害者支援で収益を得ることを肯定する。「必要とされるなら、ビジネスであっても実施すべきだ」と力を込める。

ばんぜんの会設立の経緯を説明する代表の竹中さん
ばんぜんの会設立の経緯を説明する代表の竹中さん

 宗教者の障害者支援についても期待を持つ。日蓮宗蓮昌寺住職の雄谷良成氏が設立した社会福祉法人佛子園(石川県白山市)の活動を例に挙げ、「宗教者は、使命を担った方々。思いがあるなら、支援に取り組んでほしい」と語った。豆夛さんも「福祉はもともと仏教から始まったこと。宗教者の動きは大切だ」と話している。

傾聴ーいのちの叫び

 そんなことはみんな知っていて、だからこそ人は「いのちは平等だ」と叫ぶのではないだろうか。

 そう思って見回してみると、世の中はたいていそうです。

 「誠実に働きます」と大声で演説する政治家。もし、誠実であることが当たり前に身に染みついた人であるなら、きっと、わざわざそれを看板にしたりはしないでしょう。本当に誠実な人は、自分のありようが「誠実」であることにも気付かず、ただ黙って動いているだけなのだと思います。

 本当に平等なら、本当に誠実なら、あえて言葉にする必要はありません。だって、それは「呼吸」と同じだからです。

 人は、いちいち「私は今、息を吸っています」「私は今、息を吐いています」とは言いません。当たり前にそこにあるものは、声高には語られないのです。

 ところが、ひとたび呼吸が苦しくなると、とたんに人は呼吸のことばかり考えはじめます。空気を求め、吸うことに必死になり、吐くことに集中するようになります。

 当たり前にあるものは忘れられ、欠けたものだけが意識に上る。

 繰り返し叫ばれる言葉には、どこか不安や、願望が混じっているように聞こえてなりません。だから私は、言葉そのものよりも、その言葉がなぜ繰り返されるのかが、気になって仕方ないのです。

 なぜ、それほど「平等」と言わなければならないのか。なぜ、それほど「誠実」と言わなければならないのか。

 本当にそこにあるものなら、繰り返し言葉にして訴える必要はないはずです。そこにないからこそ、語るのではないでしょうか。そして時に、存在しないものであればあるほど、それを語る声は大きくなる。

 もしかしたら、いのちの「平等」は、この世の中に存在しないのかもしれませんね。だからこそ、多くの人が声を重ねてきたのでしょう。

 大きい声を聞けば聞くほど、気持ちが沈んでいきます。今夜は。

モヤモヤを語り合う登壇者たち(画像を一部処理しています)
モヤモヤを語り合う登壇者たち(画像を一部処理しています)

 森山さんは伝統仏教の僧侶と結婚。寺になじもうと努力してきたが、ブログで自身の違和感を発信し、本を書いた。現在はうつ病の治療にも通っているという。「寺は閉鎖的で圧倒的な男性社会。根本的に女性を見下している」と強調し、「住職が守っているのは信仰ではなく、寺の建物。寺は楽しいと『キラキラ寺嫁』を演出する人もいるが、実態は全く違う」と訴えた。

 西永亜紀子さんは浄土真宗本願寺派僧侶で、かつて僧侶と結婚していた。同じ僧侶でありながら「坊守」や「寺庭」は常に男性の補佐という役目に違和感を持ち離婚した。「寺族会でも不満を抱えながら我慢している人が多い。もっと他の宗教や宗派と交流し、宗教界の内情を語りあうべきだ」と主張した。

 なまこクリームさん(仮名)はキリスト教会の牧師の妻で本人も牧師だった。閉鎖性に耐えられず今は教会から離れた。「神学校では人間は平等であると学ぶが、教会の内部は全く違うことに戸惑う。もっと人間関係のトレーニングをすべきだ」と力をこめた。

 立教大学助教で伝統仏教教団の家族、ジェンダー問題を研究する丹羽宣子さんは「寺社会は社会と地続きで聖域ではない」とした上で「住職は自分たちが社会の一員と言う自覚が足りない」と語った。また、宗教が何千年も生き延びた柔軟性に言及し「急激な時代の変化に対応すれば、宗教は市場原理とは異なる価値観を提示できる」と提言した。

 最後に森山さんは「宗教は決して偉くない。社会の一部だ」と力を込めた。

Words to live

 英国を代表する哲学者ミルにとって「幸せ」とは、直接つかみにいくものではなく、勉強や趣味、仕事など何かに熱中した結果として後からついてくるものでした。

 人間は誰しも、自分の幸せを望むものです。

 しかし、自分の幸せに疑問を持ったり、いつまでも「幸せになりたい」と望んだりしているうちは「今の幸せ」を実感することができません。

 自分の幸せを疑うと、どうしても今の自分に足りないものを探してしまいます。

 「あの人みたいになりたい」「あれが手に入れば幸せになれる」と自分を満たしてくれる条件ばかりを考えていると、常に満たされていない自分を意識してしまうのです。

 そうやって、足りない部分や幸せでない自分のことばかり見ていては、近くにある幸福を見落としてしまいますし、いつまでも満たされないままです。

 今を生きる自分が幸せなのか自問自答するのではなく、「幸せだ」と言えるものを探してみましょう。

 目の前の課題に集中したり、日常の中で感謝できる人やものを探したり。

 自分の幸せだけでなく周囲にも目を向け、誰かの助けになるようなことをしてみるのもいいでしょう。

 幸せを測ることに執着するのではなく、幸せがついてくるような行動を心がけてみてください。

 

「歴史の中で構築されてきた『当たり前』を見つめ直すことが大事」と話す岩田教授=大阪市中央区の難波別院
「歴史の中で構築されてきた『当たり前』を見つめ直すことが大事」と話す岩田教授=大阪市中央区の難波別院

 岩田教授は近現代の仏教とジェンダーの関係性を解説しながら、宗教家は神の名の下に、仏の名の下にという解釈によって「男とは」「女とは」という考えを正当化してきたと指摘。「宗教がジェンダーを形づくり、継続してきた歴史がある」と説明した。

 また、現代の仏教界でも意思決定の場で女性が少ない現状を踏まえ、「女性は支える側、という意識があるからかもしれない」と問題提起した。

 さらに、世界経済フォーラム(WEF)が2025年に発表したジェンダーギャップ指数で、日本は148カ国中118位だったとのデータを示しながら、「日本はジェンダー格差の大きい国とみなされており、日常生活の中に課題がある。小さな取り組みの積み重ねが大事になってくる」と語った。

 加えて、「仏教界におけるジェンダーの問題は、持続可能な教団や今後の寺院を考えていくときには避けて通れない課題」と強調。宗派を超えて大切に考えなければならないという空気が広がっている最近の状況から、「無意識の先入観や偏見があることを意識することが必要。日常生活の中での当たり前が違う」と呼びかけた。

 

 

 介護事業経営者の中には現場勤務を経て起業する人が少なくありませんが、経営に役立つマネジメントスキルを学べる施設長や管理者などの立場になるまでには、多少の時間がかかります。また、起業を目指す人が集まるサロンや社会人大学などもありますが、若手介護職の場合は費用の問題もあり、こうした学びの場への参加が難しいという現実があります。このためどうしても初動が遅くなりがちです。

 しかし、実際に若くして起業をした人に聞くと、「その理由よりも、介護業界自体に若手経営者が育ちにくい雰囲気がある」のだそうです。

 27歳で介護事業会社を立ち上げた女性がいます。ケアマネジャーなどにあいさつ回りに行くと必ず聞かれたのが「ずいぶん若いですね。何歳ですか?」だそうです。介護業界は経験や技術を重視する職人気質の面があります。正直に年齢を答えると「この業界で10年間飯を食っていないヒヨッコに何がわかる」とでも言いたげな無言の視線を幾度も向けられたとか。

 また、彼女の会社は介護保険外サービスを主体にしていました。当然ですが1回利用するたびに万単位の費用が発生します。そのことも「高齢者からお金をむしり取っている…」という非難につながりました。

 今年は起業から5年。彼女も32歳になりました。営業などに行くと「おいくつですか?」と聞かれるのは相変わらずだそうですが、そんな時は「30代です」と答えるようにしているとか。

  「30代なら39歳まで該当しますので、相手は勝手に『15年程度の経験があるのだろう』と思い込んでくれます。昔に比べてずいぶんと営業がしやすくなりました」

:「無実の人を守れ~再審法改正の現在地」と題して行われた鴨志田弁護士の講演
「無実の人を守れ~再審法改正の現在地」と題して行われた鴨志田弁護士の講演

 鴨志田弁護士は、自身が弁護団共同代表を務める大崎事件=用語解説=に長年携わってきた経験から、冤罪(えんざい)被害者の救済には、戦前の手続きが残り「開かずの扉」とされてきた再審制度を改める必要があると考え、法改正の運動に身を投じた。

 講演では、実際の冤罪事件に触れながら、検察・警察が証拠を捏造したり都合の悪い証拠の存在自体を隠したりした事例を示した。裁判所が再審開始を決定したにもかかわらず、検察官抗告(不服申し立て)により、手続きが長期化している実態も批判した。

 また、2024年3月に超党派の国会議員連盟が発足して以降の再審法改正を巡る議論を紹介。法務大臣の諮問機関である法制審議会や自民党での党内手続きなど、自身が立ち会ってきたからこそ分かる内幕を明らかにした。

 質疑応答では「再審法は、取り逃がした真犯人を適切に処罰するためにも必要」と強調。裁判員裁判で誰もが冤罪加害者になり得ることにも触れつつ、「法律をつくるのは国会。ぜひ国民が声を届けてほしい」と呼びかけた。

 今回の講演録画について、文化時報社は7月17日までアーカイブ配信を行っている。視聴には2千円が必要。手数料を除く売り上げを全額、鴨志田弁護士に寄付し、冤罪被害防止に向けた運動に役立ててもらう。申し込み・問い合わせはホームページ(https://2606archive.peatix.com/)。

【用語解説】大崎事件

 1979(昭和54)年10 月、鹿児島県大崎町で男性の遺体が自宅横の牛小屋で見つかり、義姉の原口アヤ子さん(当時52)と元夫ら3人が逮捕・起訴された。原口さん以外の3人には知的障害があり、起訴内容を認めて懲役1~8年の判決が確定。原口さんは一貫して無実を訴えたが、81年に懲役10年が確定し、服役した。

 出所後の95年に再審請求し、第1次請求・第3次請求で計3回、再審開始が認められたものの、検察側が不服を申し立て、福岡高裁宮崎支部(第1次)と最高裁(第3次)で取り消された。2020年の第4次再審請求は最高裁が25年に棄却。26年1月8日、第5次再審請求を行った。

気配を読み、交差する日常

 「通りまーす」「トイレに行きまーす」。廊下に明るい声が飛び交う。

 JR横浜線東神奈川駅と京急東神奈川駅からほど近い、点字ブロックの導線が整備されたビルの一角。休憩時間を告げるチャイムが鳴ると、目の不自由な利用者たちが、手すりを頼りに声をかけながら歩く。

手すりに触れながら廊下を移動する利用者
手すりに触れながら廊下を移動する利用者

 周囲の気配を繊細に感じ取りながら、ぶつかることなく自然に交差していく利用者たちの姿に圧倒される。支援員の阿部美奈子さんは「周囲の気配を感じとる力に驚かされる。隣に立っただけで自分の名前を呼ばれて、びっくりしたこともある」と明かす。

 ル・プリは、横浜市内で福祉活動に取り組んできた三つの社会福祉法人が統合されて誕生した。横浜光センターには、10代後半~70代の視覚障害者と知的・精神障害者が計40人ほど通所している。

 視覚障害者の行動は天候に左右されやすい。雨の音で周囲の状況が把握しにくくなり、傘を持つことで白杖の感覚が制限される。雪の日は路面凍結などで危険が高まる。「悪天候の日は無事に到着できるか心配になる」と職員たち。それでも利用者は困難を乗り越えて通い続けている。

 

支援員の阿部美奈子さん(右)。左は施設長の鈴木右さん
支援員の阿部美奈子さん(右)。左は施設長の鈴木右さん

 

広報誌づくりで地域支える

 横浜光センターの仕事の柱となっているのが、横浜市の広報誌「広報よこはま」の点字版製作だ。

 工程は極めて緻密。まず別室で職員が広報紙に書かれている原稿を読み上げ、音声を録音する。それを点字習得者が聞き取り、六つのキーを使って入力する。1978(昭和53)年に製造された〝年代物〟の点字製版機で、亜鉛板に一文字ずつ刻印していく。

1978年に造られ、現在も使われている点字製版機
1978年に造られ、現在も使われている点字製版機

 そして製版された亜鉛板に紙を挟んでプレス機にかけると、凹凸の「文字」が紙に浮き上がる。離れて見れば白紙に見えるそのページは、市内の視覚障害者にとって、行政サービスや案内を知るための唯一無二の手段だ。

 24年間通い続ける女性利用者は「広報を作ることで地域の知識が増えるのがうれしい」と語り、いつか自作の歌をドラムで奏でたいという夢を胸に、点訳作業に没頭していた。

 

広報誌の制作を担当する女性(左)と軽作業を行う男性
広報誌の制作を担当する女性(左)と軽作業を行う男性

 他にもボールペンの組み立てやフェルトの小物作り、塗り絵など、作業は多岐にわたる。どのスペースも、見えなくても安全に作業できるよう整理整頓が徹底されている。

 

「専門性」がもたらす自立

 工賃は平均3万円台で、全国のB型事業所の中では高い方の水準だ。背景には、市からの委託業務という高い公共性と専門性がある。

 収入の向上は「生活の自由度」を高め、社会参加への意欲を後押しする。実際に、横浜光センターではテレビやラジオで得た情報を元に、積極的に外出する利用者も少なくないという。

 

一人一人の背景に寄り添う

 今春、施設長に就任した鈴木右さんは、長年福祉に携わってきたが、視覚障害の現場は初めての経験だという。

 

生活介護の様子
生活介護の様子

 「着任当初は身構える部分もあったが、利用者たちのユニークな会話や真剣な議論に触れ、新鮮な驚きを感じた」

 近年は利用者の高齢化に伴う個別調整も重要な課題だ。鈴木さんは「一人一人の背景を知り、どういう思いで生活しているのか、心に寄り添っていきたい」と話している。

 

【用語解説】就労継続支援B型事業所

 一般企業で働くことが難しい障害者が、軽作業などを通じた就労の機会や訓練を受けられる福祉事業所。障害者総合支援法に基づいている。工賃が支払われるが、雇用契約を結ばないため、最低賃金は適用されない。 

【用語解説】生活介護事業所

 主に昼間に入浴・排泄(はいせつ)・食事などの身体介護を行うほか、生活相談に乗ったり、創作的活動・生産活動の機会を提供したりする福祉事業所。常に介護などの支援が必要な人を対象としている。

 川崎市社協が2022年10月に開始した「未来あんしんサポート事業」のサービスの柱は、①生前見守り②死後事務③遺言作成支援・執行の三つ。別途有償で、入院・入所支援など六つのサービスも用意している。

 契約は、この3本柱をセットで行う仕組みで、単発での利用は受け付けていない。その意図について、川崎市社協あんしんセンターの菅茂生終活支援担当課長は「生前から死後まで一貫した安心を提供するという理念に基づいている」と説明する。

 

菅担当課長が講師を務め「てくのかわさき」で行った出張講座=川崎市高津区
菅担当課長が講師を務め「てくのかわさき」で行った出張講座=川崎市高津区

 

遺言執行報酬を預託金化

 サービス対象者は、「川崎市在住で原則65歳以上」「葬儀や埋葬を行える親族がいない」「公正証書遺言により遺言執行者を指定できる」など、八つの条件を設定している。

 「先行する社協と比べると条件は緩やか」と菅担当課長。例えば親族要件は、「直系親族がいない人」に限定する社協もある中、同社協では、親族がいても実質的に頼れない場合は対象になり得る。また、収入や資産の上限も設けていない。

 サービス費用は、①入会金2万円②年会費9600円③預託金60万円以上④事務管理費。③の内訳はA遺言執行報酬充当分30万円、B葬儀・埋葬費用30万円~、C家財処分・その他支払い・オプション1万円単位。④は預託金B C合計額の10%に設定している。

 他社協と比べ特徴的なのが、遺言執行報酬を後払いではなく預託金としている点だ。「契約者が亡くなった際、預貯金がない、あるいは借金が判明し、報酬を支払えないケースも想定される。遺言執行者に安心して業務にあたってもらうため」とする。

川崎市社協が入居している市総合福祉センター=川崎市中原区
川崎市社協が入居している市総合福祉センター=川崎市中原区

 預託金Bの葬儀・埋葬費用は、契約者が希望する葬儀社や埋葬先から見積書を取り、その金額を預託金としている。見積額が30万円未満の場合は、死亡後に預託金との差額を遺言執行者に返金する。

 実際の見積額は、葬儀は直葬、埋葬も費用の安い方法を希望する人が多いことから、20万円程度が最多となっている。

 

契約件数は想定上回る

 新規契約件数は、22年度(半年間)は0件だったが、23年度9件、24年度25件、25年度(10カ月間)34件と年々増加し、3年4カ月の累計で68件となった。

未来あんしんサポート事業の受付カウンター
未来あんしんサポート事業の受付カウンター

 相談件数は、終活相談全体で累計566件。「未来あんしんサポート事業」単独の集計は行っていないが、「7~8件の相談のうち1件が契約に至る」という。

 契約に至らない要因は、「三つのサービスのうち一つだけ利用したい」「それだけの預託金を負担できない」など、相談者のニーズと合致しないケースが最も多い。

 そうした状況を踏まえつつ、菅担当課長は「契約件数は想定より多い。契約者にとっては重大な選択であり、68人もの利用者がいる事実を重く受け止めている」と語っている。

 

塚本の目:寺院は協働する好機

 市区町村社協の中で、経済的に中間層に位置する人々への具体的支援に踏み出す動きが増えてきている背景には、身寄りなし・単身高齢者の死後を民間事業者だけで支えることが、費用面・収益面の制約から難しく、制度のはざまに置かれてきたという現実がある。こうした状況を受け、国が身寄りなし・単身高齢者支援や死後事務を含む包括的な支援をモデル事業として整理し、後押しを始めたことが大きい。

終活相談室
終活相談室

 しかし、この流れは宗教の役割を置き換えるものではない。むしろ、死後事務が制度として整備されることで、寺院が「死の意味」や「供養」を担うという本来的な役割が、より明確になると筆者は考える。その意味で、社協の動きは寺院にとって協働の好機であり、すでに「社協が死後事務を担い、寺院が葬儀・納骨を受け持つ」といった連携も生まれている。

 協働を検討する際の参考として、死後事務など複数の具体的支援を行っている社協を、筆者が把握する範囲で挙げておきたい。

 北海道本別町社協、東京都足立区社協、同杉並区社協、同文京区社協、千葉県船橋市社協、相模原市社協、神奈川県秦野市社協、同南足柄市社協、名古屋市社協、大阪府枚方市社協、大阪市城東区社協、高松市社協、福岡市社協。

 

 

 そんな折にプロ野球の現役監督が実娘に対する暴行容疑で現行犯逮捕されるというショッキングなニュースが飛び込んできました。ワイドショーや会員制交流サイト(SNS)ではこの話題で持ち切りになりました。暴力はいけないとしながらも監督を擁護する投稿も多数見受けられました。児童相談所や警察の対応についても、根拠不明な情報(?)も散乱していました。


 私の経験に限って申し上げますと、救急車を要請して警察が一緒に来ることはよくあります。それは、けがの場合です。高齢者や障害者の施設では利用者同士のトラブルあるいは職員による虐待・暴行が疑われるからです。


 警察から任意で事情を聞かれることもよくあります。だから児童相談所が警察へ通報することには何の違和感もありません。ただ、現行犯逮捕というのは仰天しました。「そんなことあるの?」と。


 個人が行う暴力や威嚇には厳しい制裁があります。刑事事件にならなくても、社会的制裁はかなり大きなものになることもあります。


 しかし、国家による暴力・威嚇はまかり通っているという矛盾を、子どもたちにどう説明すればいいのでしょうか? 暴力・威嚇は憎しみしか生まないということを伝えないといけない気がします。


 法然上人は夜討ちされ命を落とした父から「仇(かたき)討ちをしてはならぬ」と遺言されたそうです。仇討ちは憎しみの連鎖を生むだけと。現代でもなかなか受け入れがたい感覚でしょう。ましてや平安時代末期の話。親の仇を討たねば腰抜け扱いされ、下手すればさらに襲撃されるリスクもある社会において、その遺言はかなり深いものであったと想像できます。


 その遺言が後の浄土宗、浄土真宗へとつながり現代の私たちへと伝わっています。非常に大事な遺言でありました。


 暴力・威嚇は社会的に許されないというより、憎しみの連鎖となることを伝えるのが僧侶の役目かと思います。元暴力団組員へ伝わるでしょうか?

 

(画像アイキャッチ兼用:「グループホームはついのすみかではない」と語る寄能さん)
「グループホームはついのすみかではない」と語る寄能さん


 森の家Pナッツは知的障害者のグループホーム10カ所を運営し、利用者48人の地域生活を支えている。


 寄能さんは、利用者が高齢化に伴って介護保険サービスに移行し、グループホームから別の施設に入所した事例を紹介。「グループホームはついのすみかではない」と述べ、「親なきあとも本人は年を重ねるし、障害福祉制度はこれからも変わり続ける」と伝えた。


 その上で「親あるあいだ」にできる準備としては、本人の意思を知ることや家族だけで抱えないこと、社会資源を知ることなどがあると指摘。「親なきあとは、親がいなくなることを考えることではなく、その人の人生を誰と支えていくかを考えていくこと。家族と支援者が支え合うことが大切」と語りかけた。
 

 

 鹿児島市にとっては初の宗教界との災害時協力協定。締結式は、鹿児島市役所で行われ、下鶴隆央市長と代表幹事を務める井上住職のほか、宗教者の災害支援に詳しく協定締結の協議や草案づくりに関わった稲場圭信大阪大学大学院教授らが出席した。

 協定によるとそれぞれの宗教施設は、被災者への一時避難場所の提供▽遺体安置所の設置▽車両の緊急退避場所の提供▽ボランティア活動の拠点開設―などを行う。これらの支援活動で発生した費用は、災害救助法に基づき市が負担する。

 下鶴市長は、災害時の初動体制が整うことに感謝した上で、今後も宗教施設と連携を取りながら災害への対応力を高める意向を示した。井上住職は「今後は施設ごとに覚書を交わし、防災や避難などの訓練や学びも充実させていきたい」と話した。

(画像アイキャッチ兼用:協定書を交わす下鶴市長(左)と代表幹事の井上住職)
協定書を交わす下鶴市長(左)と代表幹事の井上住職

 稲場教授は「全国の自治体と宗教法人の連携における新たな基準を提示したといえる」と、今回の協定を高く評価した。

水害の経験生かす

 谷山宗教連盟は昨年4月、地域の発展への寄与や緊急時の支援を目的に結成された。同年8月には、鹿児島市の和田川が氾濫した台風12号水害で、妙行寺の門徒会館が一時避難所やボランティア拠点となった。

 この経験を生かそうと、谷山宗教連盟は今年2月、地域住民と避難所運営ゲーム(HUG)などを行う研修会を開催。翌3月には妙行寺が宗派を超えて災害支援を考える研修会を開催し、ボランティアの組織化や被災者のケアなどを学ぶ機会を提供した。

 こうした取り組みが、行政に負担を求める協定内容であるにも関わらず、早期に締結に至る後押しとなった。井上住職は「雨の時期を前に締結できたことはありがたい」と語り、稲場教授は「協定締結がゴールではなく、これからの具体的な取り組み、備えを進めていくことが大事だ」と期待を寄せた。

 

ケアマネジャーと利用者(イメージ)

 では、訪問先や訪問途中で誰かに襲われた場合、どう対応したらいいのでしょうか。介護職に多い女性を想定して解説します。


 絶対にしてはいけないことは「立ち向かう」です。力や体力では女性は男性にかないません。襲われたら「とにかく逃げる」を最優先に考えましょう。


 そのために大事なのは逃げる「隙」を作ること。手元にある物を相手に投げて下さい。人は自分に向かって硬い物が飛んで来ると、誰でも無意識によけようとしたり、手で顔面をかばったりしますので、その際に逃げ出せる隙が生じます。


 スマートフォンやタブレット端末、ペットボトル飲料、化粧道具、書類が入った分厚いファイルなどは普段からカバンに入っていることが多いでしょう。また。カバン自体も革などの厚手のものならば相手の攻撃から身を守る盾として使えます。


 また、傘は一定の距離を保ちながら相手を牽制するのに向いています。フェンシングのように相手を突く動作を繰り返すことで、逃げ出す隙が生まれやすくなります。


 逃げる際は声を出して周囲に異変を知らせましょう。ただし「キャー」だと、それを聞いた人は「子どもがはしゃいでいる」などと勘違いしてしまう可能性があります。「助けて」「人殺し」など、異常事態が発生していることが誰にでも分かる言葉で叫ぶことが重要です。

 

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