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子ども食堂と宗教施設 被災地での役割問う

2026年1月16日

※文化時報2025年11月18日号の掲載記事です。

 認定NPO法人全国こども食堂支援センター「むすびえ」は10月28日、オンライン報告会「宗教施設×こども食堂 防災・地域共生のこれから」を開催した。大阪大学大学院の稲場圭信教授による基調講演などが行われ、多世代交流の場としても機能する子ども食堂=用語解説=を中心とした地域づくりについて考えた。

 稲場教授は能登半島地震の被災地で宗教者らが行った炊き出しや支援物資の配布などの様子を紹介。35カ所ほどの宗教施設が避難所となり、物資の集積場所としても機能したことや、一般ボランティアの現地入りが難しい中、宗教者のネットワークが力を発揮したことなどを伝えた。

 全国の宗教施設約18万カ所のうち避難所となっているのは、稲場教授らによる昨年の調査時点で推定4500カ所ほど。「まだまだ伸びしろはある」と期待を寄せた。

「行政が遠ざけ、宗教者も遠慮」

 続いてむすびえディレクターで防災士の森谷哲(さとし)さんを進行役に、稲場教授、真宗大谷派西照寺(石川県小松市)僧侶で坊守の日野史さん、「かなざわっ子nikoniko倶楽部」代表の喜成清恵さんがトークセッションを行った。

被災地での支援の在り方について語る稲場教授、森谷さん、日野さん、喜成さん(右上から時計回り)
被災地での支援の在り方について語る稲場教授、森谷さん、日野さん、喜成さん(右上から時計回り)

 日野さんは宗教離れが進む社会でお寺を開かれた場所にしようと、子ども食堂を含むさまざまな活動を行ってきた。能登半島地震では発生後すぐ、仲間と支援物資を集め炊き出しに向かった。ところが「行政は『来るな』という姿勢だった」といい、つてを頼って訪れた輪島市内の中学校では、約1500人の避難者に対し職員3人で対応するなど混乱していたという。

 日野さんと喜成さんは、お寺を支援活動の拠点とすることの利点として、広いことと、地域のランドマーク的な存在で場所を把握してもらいやすいことなどを挙げた。

 逆に難しさとして日野さんは、8年前に子ども食堂を開く際に、行政から宗教活動をしないようくぎを刺されたエピソードを紹介。稲場教授は「行政が宗教を遠ざけようとし、宗教者も遠慮して身分を隠す。しかし被災者には多くのものを一度に失った怒りや悲しみがある」と述べ、これに応じられるのは宗教者だとの考えを示した。

 さらに、一般の支援団体が被災地で活動するには情報収集が困難であると指摘。「地域から信頼され宗派のネットワークを持つ宗教施設は、大きな力を発揮できる」と強調した。

【用語解説】子ども食堂

 子どもが一人で行ける無料または低額の食堂。困窮家庭やひとり親世帯を支援する活動として始まり、居場所づくりや学習支援、地域コミュニティーを形成する取り組みとしても注目される。認定NPO法人「全国こども食堂支援センター・むすびえ」の2024年の調査では、全国に少なくとも1万867カ所あり、宗教施設も開設している。

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