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漫画で楽しく仏教学ぶ 『ヤンキーと住職』好評

2026年3月2日

※文化時報2026年1月27日号の掲載記事です。

 富山県砺波(となみ)市の浄土真宗本願寺派真光寺衆徒で漫画家、イラストレーターとしても活動する近藤丸さん(41)が描いた漫画『ヤンキーと住職』(KADOKAWA)が好評だ。仏教好きの特攻服を着たヤンキーと頭でっかちな僧侶の凸凹コンビが仏教を学び合う物語。思わず笑い、時にうなずき、心が揺れる。根底には「仏教を分かりやすいように伝えたかった」という思いがあった。(松村一雄)

 ペンを取ったのは2020年6月のコロナ禍。宗教科の講師として教壇に立って中高生を教えていたとき、卒業生らによる同窓会の席で「漫画を描いてみたらどうですか」と声をかけられたことがきっかけだった。元々漫画好きで、つげ義春や手塚治虫を愛読。黒板に漫画を描いていたという。

 そして授業で「天上天下唯我独尊」の意味を教えているときに、「特攻服に書いてあるこの言葉の意味をヤンキーが知っていたらすごいよね」と言ったことから、ヤンキーと住職を登場人物にしようと思い付いた。

 「この2人なら、漫画で仏教を伝えることが可能かもしれない」。近藤丸さんはこれまで漫画を描いたことはなかったが、ひらめきは的中した。

(画像:ヤンキーと住職の一場面)
ヤンキーと住職の一場面

 ペンネームは、テレビアニメ『おじゃる丸』に倣って「近藤丸でいい」と決めた。会員制交流サイト(SNS)で連載を始めたところ、編集者の目に留まり、ペンを取った4カ月後には電子書籍化が決定した。

笑いに利用しない

 全国のお寺やお年寄りからは「電子版だと手に取れないし、子どもや孫にも読ませたい」という声が多数寄せられた。「それなら紙の本を出したい」と思っていたところ、ある雑誌のホームページで連載が決定。本にしてほしいと頼むととんとん拍子で話が進み、23年2月に発売された。

 「仏教を題材にした漫画やエッセー、解説書などはたくさんあるが、少し難しいものが多い」と感じていたという。

 一方で楽しく伝えることの難しさに直面することもしばしばで、つい笑いを取ろうと筆がすべることも。「仏教を笑いに利用することは絶対に駄目だと思っている。ギリギリを攻めて、ウケ狙いに走り切っていないところが評価されたのかも」と振り返り、こう語った。

 「仏教の教えがこの本ですぐに伝わるとは思わないが、仏教の言葉に触れてもらうきっかけになってほしい。いつか教えが分かってもらえるように願って描いたので、種まきになれば」

次回作にも意欲

 近藤丸さんが仏教に興味を持ったのは中学生の時。「身近な親族が亡くなって、人生や死について悩むようになった」。

 そうしたときに声をかけてくれたのが、月参りに来てくれていた住職で、「親身になってくれた。月に一度のお参りの時には心が静かになった」。住職の話に耳を傾けると、「命は厳粛である。命を差別しない」というメッセージが伝わってきたという。

 大学は環境問題を学びたくて工学部に入ったが、「技術で解決しようという方向ばかりで、人間の問題が置き去りになっていた」ことに失望。「就活しても面白くない」と、仏教を学ぶために本願寺派の東京仏教学院(東京都千代田区)に入り、僧侶として生きていく決意を固めた。

 現在は教壇を離れ、龍谷大学博士後期課程でより深く仏教を学ぶ日々。今は論文の執筆が主で「漫画を描く時間が取れない」と筆を置いているが、次回作への意欲は失われていない。「ネタは温めている。また描きたい。2028年には出版したいですね」

(画像:次回作への意欲を示す近藤丸さん)
次回作への意欲を示す近藤丸さん

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