2025年2月28日
※文化時報2024年12月3日号の掲載記事です。
親鸞聖人の遺徳をしのぶ真宗佛光寺派本山佛光寺(京都市下京区)の御正忌報恩講が11月21日の初逮夜法要から始まった。23日の日中法要後には、一般社団法人親なきあと相談室関西ネットワークの代表理事、藤井奈緒さんが講演。大師堂(御影(ごえい)堂)を埋め尽くした寺族や門信徒ら約300人が、不登校・ひきこもりの人たちの生きづらさに思いを寄せた。
全国坊守会連盟主催の記念講演会。藤井さんは、重度の知的障害のある長女(21)と不登校の次女(15)の母親で、大阪府八尾市教育委員会の教育委員も務めている。今年4~6月には佛光寺派の「僧伽(さんが)に学ぶ研修会」でも講師を務めた。
今回の演題は「生きづらさに寄り添う」。藤井さんは、学校に行きたくないと言いだした次女に対し、最初は「甘えるな」と叱っていたが、円形脱毛ができているのを見つけて、本当に学校へ行くのがつらかったのだと痛感したと明かした。
また、不登校の子に学校へ行きたくない理由を問いただして「分からない」と答えるのは、本人が本当に分かっていないからだと推察。昼夜逆転の生活を送るのは、社会が動いている昼間の音を聞くのがつらいからだと指摘し、「自死を選ばず、自分の命を守る行動として家にいる。頭ごなしには責められない」と語った。
その上で、悩んだときに相談できる人や、自分のことを心配してくれる人といった「心の寄る辺」が必要だと訴え、「結果として不登校・ひきこもりになっただけ。温かい目で見守り、しんどい思いを聞いてあげてほしい」と呼び掛けた。