2025年4月30日
※文化時報2025年2月4日号の掲載記事です。
障害のある人たちの大学教育について考えるシンポジウムが、大阪府吹田市の千里金蘭大学で開かれた。生涯学習の観点から、特別支援学校を卒業した後の「移行期」にも学びの機会を得られるよう、文部科学省のモデル事業を行っている大学7団体のうち4団体が活動を報告。実際に授業を受けた学生や家族らによる発表も行われた。
「共に学び、生きる共生社会コンファレンス」と題し、1月12日に開催された。障害のある人の学びの場の充実と担い手の育成を目指し、文科省が2019年度から全国で行っている。
今回はまず、大阪信愛学院大学(大阪市城東区)の阪上由美准教授が、23年度と24年度に実施した「オープンカレッジ」の取り組みを報告。障害のある人が学生ボランティアと共に俳句を作ったり、顕微鏡で自分の細胞を観察したりする授業を、大学の教室で行ったと伝えた。
静岡大学(静岡市駿河区)は、知的障害者に学びたいテーマを挙げてもらって授業をつくる「学ぶって楽しい!大学で学ぼう」について紹介。長野大学(長野県上田市)も事例を発表し、愛媛大学(松山市)の担当者は「学生には支援者として関わるのでなく、障害のある人と一緒に活動する仲間であってほしい」と語った。
昭和大学病院(東京都品川区)の院内学級で子どもたちの教育に携わってきた副島賢和・同大大学院准教授による講演も行われ、医療的ケアを受ける子どもにも、学ぶ喜びや学びの選択肢を保障することの大切さが説かれた。
大阪信愛学院大学のオープンカレッジに障害のある息子が参加した田中美紀さんは「障害や病気があっても、大学で学びたいことを選択できるようになるとうれしい。イベントではなく、常にこのような取り組みが行われることが大事」と話した。