2026年2月8日
※文化時報2025年9月2日号の掲載記事です。
単身世帯や未婚高齢者の増加などにより、お墓の承継者がいない人が増えている。その解決策の一つとして広がりつつあるのが、血縁を超えて入る「共同墓」。兵庫県高齢者生活協同組合(神戸市長田区)は、その先進例だ。1999(平成11)年設立、会員約4300人を擁し、県内2カ所に計518柱を納骨可能な共同墓「永遠(とわ)」を開設している。単に納骨場所を提供するだけでなく、契約者と遺族をつなぐ「永遠の会」を運営し、会員同士の交流も図っている。
同組合は2014年4月、神戸平和霊苑(同市西区)に300柱分の共同墓「永遠」を開設。17年10月には住吉霊園(同市東灘区)にも218柱分を整備した。

その背景について、共同墓・終活セミナー担当の藤山孝氏は、次のように話す。
「組合員の少子高齢化が進み、葬儀やお墓で、家族や子どもに負担をかけたくないという声が増えていた。また、宗教・宗派を問わず契約でき、永代供養や維持管理費の心配もなく、身近で墓参できる利便性の高い共同墓を望む人が多かった」
共同墓「永遠」の特徴は、①両共同墓とも交通の便がいい②宗教・宗派は問わない。墓誌名板への彫石は全て本名・俗名③納骨は、骨壺から木綿の納骨袋に移し替えた後に合祀④使用契約金は、神戸平和霊苑は本人15万円、同居家族10万円。住吉霊園は本人20万円、同居家族12万円―などだ。
現在の契約数は、神戸平和霊苑が226人(うち物故者102柱)、住吉霊園は58人(うち物故者28柱)。
藤山氏によると、建立直後は、以前から希望していた組合員の契約が集中。3年目以降は、終活セミナーの参加者や契約者からの紹介が大多数となった。そして最近の年間契約者数は、神戸平和霊苑は15~20人、住吉霊園は10人前後。住吉霊園の契約者数がやや少ないのは、対象エリアが2区のみと狭いためという。
神戸平和霊苑の共同墓開設と同時に発足した「永遠の会」は、契約者と遺族を結ぶ交流組織。目的は「今をよりよく、自分らしく、楽しい仲間をつくること」で、いわゆる“墓友の会”だ。

主な活動と参加状況は次の通り。
①「共同献花祭・永代供養祭」(年1回)。共同墓の契約・納骨状況の報告やイベントの連絡の後、参加者全員で献花・唱歌斉唱。参加者は神戸平和霊苑は約40人、住吉霊園は約20人。
②「秋の共同墓参会」(神戸平和霊苑のみ開催。年1回)。内容は①とほぼ同じ。参加者は約40人。
③「昼食会」(年2回、23年以降は年1回)。参加者は約30人。
これらのイベントへの参加について、藤山氏は「お墓に入ることだけを目的に契約された方々も多いので、無理なお誘いはしない」とした上で、「伴侶を亡くした一人暮らしの方も多く、会の活動への参加を楽しみにしている方も少なくない。会の活動を通じて親しくなり、お付き合いを続けている方もおられる」と話す。

イベントのほか、「永遠の会」の活動としては2014年4月から季刊誌を発行。イベントや納骨式のほか、終活セミナーの開催状況などを掲載している。
今後も、イベント開催や季刊誌発行、共同墓見学を継続するほか、他県の高齢者生協との情報交換などを進める予定だ。
契約のきっかけとなっている終活セミナーについて見てみよう。
同組合では、介護・保健、福祉関連、生活支援関連の三つの事業を展開。生活支援関連事業として、共同墓、終活セミナー、福祉輸送サービス、生活支援などを行っている。
終活セミナーは、場所を変えながら月2回開催。これまでに238回開催し、参加者数は2649人に上っている。非組合員も参加できるようにしており、参加者全体の約90%を占めている。

セミナーの内容は、エンディングノート、葬儀、お墓、遺言、相続など。高齢者が生活していく上での悩みや将来への不安について、参加者と一緒に考える形で進めている。
セミナーではこのほか、先祖代々のお墓を継承することの難しさや共同墓のメリットを訴求している。また、参加者には毎回アンケートを実施し、その中に「共同墓の見学を希望しますか」という項目も入れて、希望者を募っている。見学者の累計は神戸平和霊苑256人、住吉霊園113人。
こうした方策を講じていることにより、共同墓の契約者数は年間25~30人になっているのだ。
