2026年3月29日
※文化時報2026年1月30日号の掲載記事です。
京都女子大学(京都市東山区)は20日、看護学部を2029年に新設する方針を明らかにした。滋賀県が本庁舎(大津市)の隣接地で整備を構想している医療福祉拠点に大学を誘致したことから、学部新設を決めた。2月に県と覚書を交わし、今秋にも正式決定する見通し。(大橋学修)
計画では、本庁舎の西側約7200平方メートルの敷地に、延べ7千平方メートル、4~5階建ての校舎を建設する。入学定員は80人で2クラス制。大学と共に大学院も開き、学部生の段階で看護師、修士課程で保健士や助産師、養護教諭の資格が取れるようにする。

看護学部看護学科と大学院修士課程の5年間を一貫したカリキュラムとする予定。竹安栄子(ひでこ)学長は、医師と薬剤師になるには6年を要する一方、看護師は3~4年であることを指摘し「医療現場では、学歴差が権力構造を生み出している。専門性の高い看護師を育て、地位向上を図る」と話した。
同大学は現在、7学部10学科を置いている。2027年度は家政学部を食科学部に改組し、28年度に経営学部を新たに開く。
29年度の看護学部の開設で10学部13学科体制とし、少子化で入学者数の確保が難しくなる中で攻めの経営を目指す。
看護学部の新設は、同大学の建学の精神を実現する機会となる。また、住民が命について語り合うサロンなどを開く滋賀県独自の「死生懇話会」との連携も期待される。
竹安学長は会見で、開学の礎となった九条武子(1887~1928)は、仏教精神に基づく総合病院の設立を目指しながら道半ばで亡くなったが、歌集『無憂華(むゆうげ)』の印税で、あそか病院(東京都江東区)が設立されたことを説明。「学部の新設は、九条武子婦人の理念を引き継ぐことになる」と強調した。

仏教精神を根底に持つ看護学部の設置は、リカレント教育(学び直し)や生涯学習にもつながり得る。滋賀県の死生懇話会とも親和性が高い。
死生懇話会は三日月大造知事の指示で、2020年に発足した。医師や僧侶などの有識者が集まり、25年まで死生観について語り合った。そこで得られた知見を基に、住民を主体とした死生観の語り合いの場を定期的に開いており、2月7日には東寺真言宗大本山石山寺(大津市)の鷲尾龍華座主を招いたトークライブを予定している。
竹安学長は「グリーフ(悲嘆)ケアの需要はますます増える。共生に寄与する学部をつくっていきたい」と話し、三日月知事は「仏教の理念、親鸞聖人の教えを大切にしながら、全ての命に寄り添う慈しみの心はとても大事だ」と述べた。