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お寺の「かまどベンチ」完成 境内で炊き出し訓練

2025年7月30日

※文化時報2025年5月23日号の掲載記事です。

 大阪市住吉区の浄土宗願生寺(大河内大博住職)は10日、緊急時に調理に使える「かまどベンチ」の完成を祝い、火入れ式と炊き出し訓練を行った。同寺に防災倉庫を置く墨江東3町会の提案を受けて開き、住民同士が交流を深めた。今後、町会独自の訓練として定期開催していく。(大橋学修)

 ベンチを設ける活動に取り組む吉田哲大阪工業大学教授と大河内住職が、レンガ製のかまどベンチに入れたまきにガスバーナーで点火。住民たちは防災用の浄水ユニットで浄化した井戸水をくんで湯を沸かし、豚汁をつくった。

調理に用いる井戸水を浄化する浄水ユニット
調理に用いる井戸水を浄化する浄水ユニット

 住民たちはバーベキューコンロも持ち込み、缶ビールを片手に、焼き鳥や焼きそばなどを味わいながら、ゆったりとした時間を過ごした。住民の河合真理さん(60)は「お寺でこんなことができるとは思わなかった。訓練が役立つ機会はない方がいいですが」と笑った。

 かまどベンチ製作は、設計した大阪工業大学の学生・大学院生や、寺子屋など願生寺の活動に参加する子どもたちが、地域住民の手を借りながら行った。修士課程2年の新侑士(あたらし・ゆうし)さんは「普段の取り組みがあるからこそ、これだけ人が集まる。お寺の力を感じた」。吉田教授は「地域の在り方によって施設のつくり方は変わることを、学生たちに考えてもらいたい」と話した。

 炊き出しには、高砂神社(大阪市住之江区)の原田万利子宮司も参加。吉田教授と相談し、かまどベンチの設置を決めた。「お寺とも連携して、地域のための神社として何ができるかを考えたい」と語った。

 

形となった地域連携

 かまどベンチの製作は、2021年9月に始まった願生寺の防災プロジェクトの一環。プロジェクトでは、学識者を交えて地域住民とのワークショップを重ね、住民や医療的ケア児=用語解説=の一時避難所となることを目指している。地域住民が防災倉庫を境内に置くなど、地域とお寺の連携も進んでいる。

かまどベンチで調理する住民の指示に従って鍋を運ぶ吉田教授(中央)と大河内住職(右)
かまどベンチで調理する住民の指示に従って鍋を運ぶ吉田教授(中央)と大河内住職(右)

 昨年11月に開催された大阪市住吉区主催の合同訓練では、墨江東3町会の役員が願生寺に集まり、災害時要援護者の確認などの訓練を行った。

 今年3月に願生寺で行った防災ワークショップでは、町会に入っていないマンションの住民らとの関係づくりが必要との声が上がり、かまどベンチを使った炊き出し訓練で交流するという提案が出されたという。

 大河内住職は「これまでは、地域の外から取り入れた知見を地域に還元する取り組みだった。それが、住民主体の活動になった。世代間交流、住民自治による当事者性などを目標と
してきたが、それが形になってきた」と手応えを感じていた。

【用語解説】医療的ケア児

 人工呼吸器や胃ろうなどを使用し、痰(たん)の吸引や経管栄養などの医療的ケアが日常的に必要な児童。厚生労働省によると、2021年度時点で全国に約2万180人いると推計されている。社会全体で生活を支えることを目的に、国や自治体に支援の責務があると明記した医療的ケア児支援法が21年6月に成立、9月に施行された。

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