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「文化時報」コラム

〈86〉「まっさん」との出会い

2025年8月12日

※文化時報2025年6月6日号の掲載記事です。

 今年2月、高校時代の同級生で、マーケティング・プランナーとして大学で教鞭(きょうべん)を執る傍ら、雑誌「dancyu」に「シネマとドラマのおいしい小噺(こばなし)」という記事を連載するコラムニストの汲田亜紀子さんから、「京都に旅行するので会えないかな?」とのメッセージが届いた。

ヒューマニズム宣言サムネイル

 私の高校は神奈川だったので、今も同級生の多くが首都圏で生活している。このため当時の友人とはそんなに頻繁に会うことができない。京都で高校時代の同級生と再会するというのはとても貴重な機会なのだ。

 しかし、今の私は「京都在住」と言っても京都にいる時間は極端に少なく、スケジュールが合うかどうか、ドキドキしながら手帳をめくった。果たして汲田さんが候補に挙げた夜は、奇跡的に京都にいる日だった。

 すると、彼女から「大学のゼミの同期が京都出身で、いま実家に戻って京都に住んでいるんだけど、音楽が大好きで博学な面白い人なので、声をかけてもいいかな?」と提案してきた。もちろん二つ返事でOKし、松原新町あたりで会食することになった。

 汲田さんを挟んで、彼女の大学の同級生である大久保博志さんと、高校の同級生の私が3人並んでカウンターに座り、京都の早春の味覚に舌鼓を打ちながら、音楽の話、高校時代の話、大学時代の話などで一気に盛り上がった。何しろほぼ同い年である。その時代の空気感をすぐに共有できるから、話も弾むわけである。

 その夜はただ楽しく飲んだくれて別れた3人だったが、この出会いは思わぬ展開を見せた。大久保さんが私の名前をインターネットで検索し、再審法改正に奔走していることを知り、この問題を多くの人々に知ってもらうためにお手伝いをしたい、と申し出てくれたのだ。彼は映像、音楽全般を手がけるフリーのプロデューサーだった。

 それから3カ月ほどの間、大久保さんと私は何度かの打ち合わせ(必ず飲み会付き)を持ち、ブレーンストーミングを重ね、再審や冤罪について5分程度の短い動画をコンテンツとするYouTube(ユーチューブ)チャンネルを作ろう、という話になった。

 私が1人で話すと講義調になってしまう、だったらパペットの親しみやすいキャラを登場させて会話する形にしよう。パペットは「正義(まさよし)」で、通称「まっさん」―。大久保さんはどんどんアイデアを出し、シナリオや構成もてきぱきと作ってくれた。

 そして、動画を収録するために私の事務所を訪れたとき、事務所のフリースペースの一角にバーカウンターが置いてあるのを発見し、私を「バーの女主人」という設定にしようと言ってロケ地が決まった。

 かくして、「まっさん」を演じる大久保さんとの阿吽(あうん)の呼吸で再審問題を解説する「鴨志田ちゃんねる」が立ち上がった。随時コンテンツを更新するので、ぜひご覧いただきたい。

 

【用語解説】袴田事件

 1966(昭和41)年に静岡県で起きた一家4人殺害事件。強盗殺人罪などで起訴された袴田巖さんは公判で無罪を訴えたが、80年に最高裁で死刑が確定した。裁判のやり直しを求める再審請求を受け、2014(平成26)年3月に静岡地裁が再審開始を決定。袴田さんは釈放された。
 検察側の即時抗告によって東京高裁が決定を取り消したものの、最高裁が差し戻し。東京高裁は23年3月、捜査機関が証拠を捏造(ねつぞう)した可能性が「極めて高い」として、改めて再審開始決定を出し、検察側は特別抗告を断念した。再審公判で静岡地裁は今年9月26日、袴田さんに無罪を言い渡した。

 

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