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医療系学生と協働模索 宗教者「医の倫理」に参加

2026年1月18日

※文化時報2025年11月21日号の掲載記事です。

 医療・看護職を目指す学生たちと医療現場で活動する宗教者らが共に考え、共に学ぶ「医の倫理合同講義」が、今年も真宗大谷派の宗門関係校・京都光華女子大学(京都市右京区)と滋賀医科大学(大津市)で行われた。全国から宗教者が参加し、講義やディスカッションで考えを深めながら、医療者と宗教者の協働を模索していた。(坂本由理、松村一雄)

寄り添うことの難しさ

 医の倫理合同講義は2003(平成15)年から始まった。緩和ケア病棟などで傾聴活動を行う浄土真宗本願寺派善福寺(鹿児島市)の長倉伯博住職が、実際にあった事例を紹介し、それを元に学生と宗教者がディスカッションを行う。今年は「いのちの始まりと終わりはいつ」という議題も投げかけ、生と死についての意見交換を促した。

 京都光華女子大学では10月6日、看護学科の4年生が宗教者を交えた九つのグループに分かれて議論。特に「死を望む患者と、延命を望む家族」のはざまでどう対応するかという課題には、さまざまな意見が出た。

患者と家族の間に立つ看護師の役割について宗教者を交え話す光華女子大の学生=10月6日
患者と家族の間に立つ看護師の役割について宗教者を交え話す光華女子大の学生=10月6日

 あるグループでは、学生がそれぞれに思う寄り添いの形を発表したが、「死を望む患者の希望にも寄り添うのか」との問いには考え込み、改めて寄り添うことの難しさに突き当たっていた。

 別のグループでは、看護助手の経験がある学生の植村千明希さんが、延命治療を拒否していた高齢の女性が脳梗塞で倒れたとき、家族の希望で延命治療が行われたという事例を紹介。「亡くなるまでの6時間苦しんだのかと思うと、かわいそうだった。苦しむ時間は短くしてあげたい」と話した。上田碧(あおい)さんは「延命治療を行わないことが本人の望む形であるなら、一時的に家族が悲しんだとしても、その後の遺族のグリーフ(悲嘆)ケアはうまくいくのではないか」と感想を述べた。

まずは傾聴と共感

 滋賀医科大では11月10日に医学科の4年生と看護学科の1年生が参加して行われた。長倉住職が示したがん患者の事例に対し、20グループに分かれて真剣に向き合い、身体面、社会面、精神面、スピリチュアルの視点から積極的に意見交換した。

ディスカッションでの意見を発表した滋賀医科大学の合同講義=11月10日
ディスカッションでの意見を発表した滋賀医科大学の合同講義=11月10日

 発表では「生きる希望を考えられるように話を深掘りしていくことが大切」「患者さんにはそれぞれ物語がある。その物語に応じたケアが必要」など、まずは傾聴と共感が重要という見方が多く示された。

 また、「医師と看護師が違った視点を持ってケアを進めていくことが大切」「臨床宗教師=用語解説=と病院側の連携があれば、患者さん側にどう伝えていけばいいのか相談できる」との意見もあった。

 実際に医療現場で活動する宗教者は「答えに窮する患者さんにどこかで必ず出会う。うまくやろうと思っても悩む。答えのない問題をどう考えるのか、他の人がどう考えているのかを知ってもらう経験になったはずだ」と話した。長倉住職は「いろいろなやり方、考え方がある。これからさまざまな経験をして、素敵な医者、看護師になってほしい」と学生を激励した。

【用語解説】臨床宗教師(りんしょうしゅうきょうし=宗教全般)

 被災者やがん患者らの悲嘆を和らげる宗教者の専門職。布教や勧誘を行わず傾聴を通じて相手の気持ちに寄り添う。2012年に東北大学大学院で養成が始まり、18年に一般社団法人日本臨床宗教師会の認定資格になった。認定者数は25年3月現在で211人。

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