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「感動ポルノ」実態知る 立命大・永浜教授が講演

2026年2月1日

※文化時報2025年11月21日号の掲載記事です。

 立命館大学(仲谷善雄学長、京都市中京区)は7日、障害の有無や性別、年齢などの違いにかかわらず、多様な人々を受け止めるインクルーシブ=用語解説=社会の本質をテーマに、報道関係者向けのオンラインセミナーを開催した。スポーツ健康科学部の永浜明子教授が「感動ポルノ」について講演。スポーツ界にみられる偏見や「共生」の意味について語った。(坂本由理)

高校球児らを例に

 「感動ポルノ」は、2014年に亡くなったオーストラリアの障害者人権活動家でコメディアンのステラ・ジェーン・ヤングさんが「障害者が健常者に同情・感動をもたらすコンテンツとして消費される」ことを批判して用いた言葉。ヤングさん自身も骨形成不全症による身体障害があり、「私は皆さんの感動の対象ではありません、どうぞよろしく」と題して講演したこともある。

 永浜教授の演題は「『感動ポルノ』は誰のために…? 日本の社会は本当にインクルーシブを理解しているか〜私たちはすべての人が楽しめる社会を作れているのか?」。元教え子で発達障害があり、緻密な風景画を描くことで知られるアーティストのAjuさんと、生まれつき左手の指がなく、今夏の甲子園で活躍した県立岐阜商業高校の横山温大(はると)選手を例に挙げた。

(画像:包括的社会の本質をテーマに開かれたオンラインセミナー)
包括的社会の本質をテーマに開かれたオンラインセミナー

 2人について報道されるとき、必ず「障害のある」部分がフォーカスされる現状に、永浜教授は「多様性や共生社会という言葉を、私たちは正しく理解しているのだろうか」と問題提起した。

 その上で、横山さんが甲子園に出場した際、「ハンディを乗り越え」「障害を克服して」などと報道されたが、永浜教授が学生たちに横山さんの名前を知っているかと尋ねると、ほとんどが答えられず「左手がない子だよね」という反応だったと明かした。

 また、スポーツなどで活躍する障害者を過剰に賞賛する風潮があるとして、「障害者は頑張って普通、頑張らないとだめだと見られてしまう」と訴えた。

認めないまま、共に

 永浜教授は、障害のある人とない人が一緒にプレーする「インクルーシブ・スポーツ」を推進しているのは障害や特性のない人であるとも指摘。「障害がある人は、本当に障害のない人と一緒にスポーツをしたいと思っているのか」と問いかけ、その検証がなされていないのは「健常者の傲慢」である可能性を指摘した。

 さらに「障害のある子に優しく」という教育を受けた結果、「お世話係」を我慢して引き受けたことがつらかったと訴える学生や、実技の授業でスポーツの得意な教え子にハンディを付けた例などを上げ、こうした障害のない人たちが犠牲になる現状は本当の平等といえるのかと疑問を呈した。

 共生社会については「理解して、認める先にある」と考えるのは誤解だと強調。「理解できず、認められないまま共に生きる」ことであると語った。

【用語解説】インクルーシブ

 障害の有無や性別などによって人々が孤立しないよう援護し、社会の構成員として包み込むこと。直訳は「全てを包む」「包摂的」で、「ソーシャル・インクルージョン」(社会的包摂)が語源とされる。

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