2026年3月4日
※文化時報2026年1月30日号の掲載記事です。
大分県社会福祉協議会は19日、生活保護や身寄りのない人らの支援に取り組む葬儀社ファイン(大分市)と、寄付文化の醸成やファンドレイジング=用語解説=を進めるための連携協定を結んだ。都道府県の社協が企業と同種の協定を締結するのは全国初。財源不足で対応困難な社会課題の解決につなげる。(大橋学修)
県総合社会福祉会館(大分市)で締結式があり、佐藤章会長と茶屋元崇行ファイン取締役統括本部長が協定書に署名した。茶屋元本部長は浄土真宗本願寺派僧侶でもある。

連携協定の正式名称は「地域福祉における社会課題解決のための寄付文化醸成及びファンドレイジングの連携に関する協定」。県社協が持つネットワークとファインが持つ知見を生かし、社会課題の解決に取り組む福祉団体の活動を周知して賛同者を増やしながら、各団体への寄付の増加を図る。
佐藤会長は「それぞれの社協が望めば、ファインのような高い志のある企業と出会える可能性がある」と述べ、全国への広がりに期待した。
大分県社協とファインは昨年から終活を学ぶイベントの開催などで連携。両者の目指す方向性が合致していることに加え、互いの強みを生かすことが問題解決の糸口になると考え、今回の協定締結にこぎ着けた。
ファインは「誰もが、誰かに見送られる安心を」をモットーに、葬祭業を起点としながら、生活困窮者や金銭管理が困難な人、「親なきあと」に直面する障害のある人など、課題を抱える人々の支援に取り組んでいる。ただ、一企業で課題全般を解決することは難しく、福祉団体との連携を模索していた。
大分県社協は、孤独・社会的孤立▽子どもの貧困▽生活困窮▽頻発する大災害▽障害者や認知症高齢者など判断能力が不十分な人の暮らしづらさ▽人口減少社会、過疎化及び超高齢化などに伴う介護現場の人材不足―の6項目に力を入れる一方、財源不足を課題としていた。
国内の寄付市場は、個人寄付が2010(平成22)年に5455億円だったのに対し、25年には約4倍の2兆261億円に拡大。法人寄付は10年の約2倍に当たる1兆1229億円に上った。佐藤会長は「寄付だけでなく、さまざまな社会課題への関心を高めたい」と話す。
一方で、非営利組織が積極的にファンドレイジングを行ったり、募金活動のノウハウを学んだりするケースはまだ少ない。今回の協定で、ファインが蓄積した知見を多様な団体が活用できる。
茶屋元本部長は「市民が取り組みを知る機会を増やし、ファンドレイジングを普及させ、募金活動を行う団体を増やしていくことが必要だ」と力を込めた。
【用語解説】ファンドレイジング
資金を意味する「ファンド」と調達を指す「レイジング」を合わせた造語で、非営利団体が行う資金調達を指す。理念に共感してもらい、寄付などによる活動への参加を促す。