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〈26〉「循環葬」全国に広がるか at FOREST

2026年3月8日

※文化時報2025年11月4日号の掲載記事です。

 遺骨を寺院所有の森林に埋葬する「循環葬®」を監修するat FOREST株式会社(神戸市中央区)は8月11日、真言宗智山派真野寺(千葉県南房総市)の森林内に2拠点目となる新たな区画をオープンした。小池友紀社長は、2023年7月に日蓮宗能勢妙見山(大阪府能勢町)で開設したときは「先の展開まで考えていなかった」とした上で、「全国から問い合わせがあり、確かなニーズを感じたので全国展開を決意した」と語る。現在、関東・関西の数カ所の寺と協議中で、循環葬がどこまで広がるか注目される。

(画像1アイキャッチ兼用:森林浴の森として、人が心地よく過ごせる場所となっている=真野寺)
森林浴の森として、人が心地よく過ごせる場所となっている=真野寺

 at FORESTが監修する循環葬の特徴は、大きく次の3点に整理できる。

①遺骨をパウダー状に粉砕し、土と混ぜ合わせて森の中に直接埋葬する。埋葬地には墓石や墓標は設置せず、森の自然の姿を保つ。

②森全体がお参りの対象となり、墓参りの時間は、森林浴や癒やしの時間となる。森の中に憩いのスペースも設置する。

③林業の衰退や従業員の高齢化などを要因とした放棄林問題への対応として、自然葬の形で森林資源を保全する。売り上げの一部は、環境保全団体に寄付する。さらに人口減少・多死社会の到来による無縁墓の増加を見据え、墓の代わりに豊かな森を次世代につなぐことを目指す。

 こうした特徴を踏まえ、同社は「森と生きる。森に還(かえ)る。森をつくる。」をキャッチコピーに掲げている。

(画像2:南房総で1300年の歴史を持つ真野寺の全景。花の寺としても知られる)
南房総で1300年の歴史を持つ真野寺の全景。花の寺としても知られる

「andペット葬」が2割超

 開設から2年超が経過した能勢妙見山の循環葬の状況を聞いてみた。

 オフレコを条件に契約件数を教えてもらったところ、契約件数は筆者が予想していた以上で、全国展開に踏み切った理由が理解できる規模だった。小池社長は「広告宣伝に多額の費用を投じてはいない。マスコミ、特にテレビに取り上げられてから問い合わせが急増した」と話す。

(画像3:循環葬の森には、本人や遺族が憩えるデッキがデザインされている=能勢妙見山)
循環葬の森には、本人や遺族が憩えるデッキがデザインされている=能勢妙見山

 契約プランは、①個別葬②合葬③andペット葬④ペット葬―の4種。しかし、個別葬の申し込みはしばらくゼロだったことから廃止した。循環葬に共感する人は“自分だけの区画”にこだわらない、と小池社長は分析する。

 また、andペット葬が全体の2割超を占める一方、ペット葬のみの契約は数件にとどまる。多くの人は、ペットを「子ども同然の家族」と捉えており、自身が亡くなるまで遺骨を手元供養しているため、自身の遺骨の埋葬時に一緒に葬られることを望む人がほとんどであるという。

「合理的な考え方の人」が契約

 契約者の傾向としては、次の特徴が挙げられる。

① 合理的な考え方を持つ人

 職業はエンジニア、士業、研究者などが多い。ある高齢の男性エンジニアは、循環葬を選んだ理由を「形があると、作り替えたり壊したりする時がくる。作らないという選択が、最も合理的だから」と語ったそうだ。

②家族仲がいい人

 家族仲がいいからこそ、「子どもに負担をかけたくない」という思いから循環葬を選ぶケースが多いという。

② 女性

 見学者は男女半々だが、最初に問い合わせをしてくるのは女性が7~8割。「お墓は男性主体という慣習への疑問や不満の現れ」と小池社長はみる。

(画像4:埋葬しているところ(イメージ)。土壌学の専門家監修のもと、土に還る埋葬法を採用)
埋葬しているところ(イメージ)。土壌学の専門家監修のもと、土に還る埋葬法を採用

 これらに加えて、「墓じまいの選択肢として」「森林保全の意義に共感して」という理由で選ぶ人も少なくない。

 契約プランや契約者の特徴を見ると、既存の墓に負担や不便さを感じている人と、新しい葬送の形を求めていた人たちを中心に支持されているといえそうだ。

塚本の目:危機感持つ寺院が関心

 at FORESTはどのように寺院に営業を展開しているのだろうか。

 創業当初は、寺院とのつながりが全くなく、「家・檀家制度にとらわれない」「墓石・墓標は設置しない」「ペットを人間と同等に扱う」などの循環葬は、寺院から抵抗感を持たれる可能性が高かった。 

 そこで、ウェブサイトや動画投稿サイト「ユーチューブ」などで新しい取り組みを行っていそうな寺院を探し、直接営業をかけたという。

 小池社長によれば「皆さん、丁寧に話を聞いてくれた」が、実際に新しい取り組みをしている寺院は多くなかったという。その後、寺院に詳しい有識者や事業者とのつながりができ、紹介営業が中心となった。

 そうした中で、循環葬の提案に前向きなのは、「現状ではどうにか経営できているが、将来は厳しいと危機感を持ち、森林を保有していてその保全に悩む寺院」だそうだ。

 こうした寺院は全国に少なくない。今後、どれだけの寺院が循環葬に未来を託すのか、注目される。

(画像5キャプション不要:今回の取材相手)

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