検索ページへ 検索ページへ
メニュー
メニュー
TOP > お寺と福祉の情報局 > 介護の豆知識 > 車いすの建築士、バリアフリーを語る

知る

お寺と福祉の情報局

車いすの建築士、バリアフリーを語る

2023年8月12日

 障害者の親やきょうだいなど親族の立場にある専門家たちでつくる一般社団法人「親なきあと」相談室関西ネットワーク(藤原由親・藤井奈緒代表理事)は6月24日、大阪市立青少年センター(大阪市東淀川区)で定例のセミナーを開いた。「バリアフリー住宅・バリアフリー施設の『つくりかた』セミナー」をテーマに、車いすの1級建築士、阿部一雄さんが登壇した。

講演する1級建築士の阿部一雄さん
講演する1級建築士の阿部一雄さん

 阿部さんは1964年生まれ。37歳の時にオートバイレースの転倒事故で車いす生活者となり、41歳の時に家業の阿部建設株式会社(名古屋市北区)の社長に就任した。1級建築士や1級建築施工管理技士などの資格を持ち、漫画『パーフェクトワールド』の取材や実写版の映画、ドラマの役作りにも協力した。

 この日のセミナーでは、バリアフリー住宅だけだと採算が取れないため、手掛ける建設会社が少ないという実情を明かした。

 その上で、阿部建設の取り組みとして、車いす生活者にイメージしてもらいやすいよう、1分の1の図面を作り、医療関係者とも共有するなどの工夫を紹介。打ち合わせの際に間取りの話は1割ほどしかせず、車いす生活の実態についての質問に答えることが大半だと述べ、「心のバリアフリーに努めることが、私の仕事」と語った。

バリアフリー住宅の建築について語った
バリアフリー住宅の建築について語った

 また、建築のプロと福祉のプロが現状は交わっておらず、互いのことを勉強しないため、現場での齟齬(そご)が生じていると問題提起。医療関係者と福祉関係者、建設業者の間に立ち、本人と家族の思いを共有するのは建築士が一番ふさわしいとの考えを示した。

 バリアフリー住宅を建てる際のポイントとしては、出入りとトイレ、入浴の三つを抑えることが大事だと指摘。本人だけでなく、家族も暮らす場であるという視点が重要だと強調し、互いが不満を持たないようにすることは「建築の工夫で、かなりできる」と話した。

おすすめ記事

同じカテゴリの最新記事

error: コンテンツは保護されています