2024年7月24日
※文化時報2024年5月31日号の掲載記事です。
日本仏教看護・ビハーラ学会(今井洋介会長)は22日、今年度1回目の研修会をオンラインで開催した。仏教哲学や社会福祉が専門の佛教パーリ大学(スリランカ)専任講師、オマルペ・ソマナンダ氏が「お釈迦(しゃか)様の教えから健康と仏教的ケアおよび仏教看護をひも解く」と題し、仏教原典の記述を紹介しながら講演した。(松井里歩)
ソマナンダ氏は、仏教における健康の定義について、身体、精神、社会的な関係性、スピリチュアルという四つの要素からなることが仏教原典『ダンマパダ』(法句経)に記述されていると指摘。「涅槃(ねはん)は最高の幸福である」というスピリチュアルな面は、世界保健機関(WHO)による健康の定義にもないと説明した。
また、釈尊は不適切な看護者の特徴に、薬を準備できない▽何が有害で最善か分からない▽見返りを求めて看護する▽分泌物を触ることができない▽仏法について話ができない―の五つがあると言及。良い看護者はそれらができる人であり、人生や命について話し、知識や考えを共有することで患者の苦しみを和らげ、喜ばせることができると伝えた。
また、看護者は患者に対し「大変ですね、痛いですよね」と声を掛けがちだが、釈尊は反対に「良くなっていますね」と言っていたとして、「ポジティブな言葉の後で、痛みはどうですかなどと確認していく方法もある」と示唆した。