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ニューロダイバーシティ 障害は個性、共生を

2025年5月3日

※文化時報2025年1月17日号の掲載記事です。

 真宗興正派は、本山興正寺(京都市下京区)の教化センター「リテラス」で「リテラス研修会」を開き、日本精神神経学会精神科専門医で「はなぞのクリニック」(同区)院長の華園力氏がニューロダイバーシティ=用語解説=の視点から「こころの多様性」について講演した。約40人が参加し、自他を等しく尊び受容する共生社会の在り方を考えた。

 研修会は12月5日に実施。華園氏は冒頭、自閉スペクトラム(AS)特性=用語解説=について解説した。能力の欠如や優劣ではなく、行動に表れる生物的な特徴にすぎないと強調し、「発達障害」と診断する際の基準には「暗黙の価値評価が潜んでいる」と問題提起した。

精神科医の視点から共生社会の在り方を語る華園氏
精神科医の視点から共生社会の在り方を語る華園氏

 具体例として、AS特性のある人だけのグループ(A)、AS特性のない人だけのグループ(B)、混合グループ(C)で伝言ゲームを行った場合、AとBに比べてCの情報伝達が大きく劣化していたとする研究を紹介。「社会的交流には相互性がある。AS特性のある方にのみ欠損があるとはいえない」と示した。

 生物学の観点では、人類が今日まで生存できたのは、適応不利な遺伝的形質をあえて残して補い合ってきたからだと指摘。「真の共生には、能力至上主義の社会に障害者を埋め込むのではなく、環境調整や適正な支援の基となる相互理解が必要」と述べた。

 また、仏教や浄土真宗の教えが説く慈悲や感謝、あるがままを受け入れる心の大切さを伝え、共生社会実現に向けた仏教者の役割に期待を込めた。

【用語解説】ニューロダイバーシティ

発達障害を脳や神経に由来する個人の特性の違いと捉え、相互に尊重し合う考え方。1990年代に提唱され、多様性のある社会を目指す持続可能な開発目標(SDGs)と相まって、近年注目が高まっている。

【用語解説】自閉スペクトラム(AS)特性

コミュニケーションや対人関係の困難と、特定のものや行動への強いこだわり、限られた興味などがみられる特性。自閉スペクトラム症(ASD)はAS特性が日常生活機能に支障をきたす場合の診断名を指す。

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