2026年4月14日
※文化時報2026年3月3日号の掲載記事です。
障害のある人の就労支援を考えるシンポジウムが2月15日、京都市中京区の京都府立総合社会福祉会館(ハートピア京都)で開かれた。京都新聞社会福祉事業団や京都中小企業家同友会などが企画。障害者雇用率が90%を超えるクリーンスペース(京都市伏見区)代表取締役の橋本味永子さんと、知的障害と自閉スペクトラム症=用語解説=のある双子の親で就労支援に取り組む芳賀久和さんが、障害者雇用のポイントについて講演した。
クリーンスペースは、橋本さんの叔父が産業廃棄物収集運搬を手掛ける企業として2004(平成16)年に設立。06年に障害者が就労できるペットボトルのリサイクル事業を開始し、両親が亡くなった後も安心して暮らせるようにと、22年には障害者グループホームを開設した。昨年には障害者雇用優良事業所厚生労働大臣表彰を受けている。
橋本さんは、全従業員12人のうち9人が障害者で、そのうち4人は今年で就業20年目となることを明かした。それぞれの特性に合わせた業務を任せ、活躍することで自信を持つようになると強調した。

また、「不可思議な行動にも意味がある」と指摘。従業員がトイレットペーパーのロールを引き出し続けたことがあり、後に紙をちぎりやすくする破線のないタイプだったため、破線を見つけるまで出そうとしていたことが分かった―とのエピソードを紹介した。
事業所で働く4人の従業員も登壇。仕事の喜びや橋本さんと話すことで心が落ち着くと語った。橋本さんは「安心して話せる関係が、安心して働ける場をつくり、安心して過ごせる生活の場になる」と応じていた。
芳賀さんは、15年に立ち上げた京都市障がい者就労支援ネットワーク会議(CoCoネット)の活動を紹介。障害者雇用を経験したことのない企業に実習や就労を受け入れるよう促しており、24年度末までに実習先が延べ108事業所、就労者が15人に上ったことを説明した。
芳賀さんは「経験がない企業に対し、オーダーメードに近い形でマッチングする。ゼロから生み出すため、パワーが必要だが、地域連携で障害者雇用の歴史をつくっていきたい」と力を込めた。
講演後には、参加者同士で就労支援の在り方について語り合うグループワークが行われ、「働きやすいようにするためには、会社の業務を切り分けることが大切」「雇用に向けた面接時に、特性を考えず判断してしまう可能性がある」などの意見が出た。
【用語解説】自閉スペクトラム症(ASD)
コミュニケーションや対人関係の困難と、特定のものや行動への強いこだわり、限られた興味などの特徴がみられる発達障害。かつては自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー症候群などの名称で呼ばれていたが、アメリカ精神医学会が2013年に発表した精神疾患の診断基準(DSM)第5版からは自閉スペクトラム症に統一された。約100人に1人いるとされる。