2025年5月6日
※文化時報2025年2月7日号の掲載記事です。
障害のある子を持つ母親らでつくる「スペシャルニーズのある人のやさしい医療をめざす会」(FMCA、中井美恵・吉田琴美共同代表)は1月24日、大阪市東淀川区の市立青少年センターで講演会を開いた。「クリニックへ行く前にできること」をテーマに、看護師の河本(かわもと)鈴代さんが登壇。メモを使った症状の伝え方の工夫などについて、医療者の視点から分かりやすく説明した。
河本さんは、耳鼻咽喉科のクリニックで事務長兼看護師として働く傍ら、東大寺福祉療育病院(奈良市)で、遊びを使って病気や障害のある子どもたちを支援する専門職「ホスピタル・プレイ・スペシャリスト」(HPS)を務めている。
講演で河本さんは、米国で暮らしていたときに自身が入院を余儀なくされ、言葉で症状を伝えられず命の危機を感じた経験を紹介。事前準備やコミュニケーションの重要性を訴えた。
具体的には、医療機関のホームページで医師のプロフィルを確認し、専門分野や治療方針をチェック。症状を伝えるメモを事前に作っておくこと、その際には5W1H(いつ・どこで・誰が・何を・なぜ・どのように)を整理し、オノマトペ(擬音語・擬態語)を活用することなどを求めた。
また、触診や聴診のしやすいゆったりした服装を着ることや、持病を知ってもらうためにお薬手帳を持参すること、生活への影響を伝えることなどをポイントに挙げた。「準備が安心につながる。障害のある人については、普段から体重や体温、血圧を測ることで毎日の状態を知っておくことが大事」とも述べた。
FMCAは「誰にとってもやさしい医療」の英語(Friendly Medical Care for All)の頭文字。会の名称にもあるスペシャルニーズは、障害のある人や医療的ケアが必要な人、高齢者や子ども、妊婦、外国人など特別な配慮が必要な人を指す。
団体は昨年4月に発足。活動を支える会員を募集している。問い合わせは事務局(072―965―4608)。