2025年9月9日 | 2025年9月10日更新
※文化時報2025年6月17号の掲載記事です。
龍谷大学大学院実践真宗学研究科は5日、兵庫県尼崎市の職員を招き、カードゲームを使った地域課題解決をテーマにしたワークショップを行った。同市の浄土真宗本願寺派西正寺で住職を務める中平了悟特任教授が企画し、院生らが対話と協働に基づく課題解決について、行政の視点を学びながら実践力を養った。(坂本由理)
カードゲームは、尼崎市が市制100周年を記念して市民と共に制作した「ATTF2(アマガサキトゥザフューチャー2)」。市民の困り事が書かれた黒の「きいてカード」50枚と、公共施設や人材などの地域資源を記した赤の「おたからカード」90枚で構成されている。
親役のプレーヤーが「きいてカード」を読み上げ、他のプレーヤーが手札の「おたからカード」から最大3枚を組み合わせて解決策を提案。親役が最も優れた解決策を選び、選ばれた回数の最も多い人が優勝となる。

ワークショップは総合演習の授業として行われ、実践真宗学研究科の1年生10人と教員3人が3グループに分かれてプレー。「小学5年の男子児童」の困り事「スケボーをしたいが道路は危ない。どこで遊んだらいい?」に対し、プレーヤーは神社カードを出して「近所の神社は広くて遊べる。宮司さんに怒られないように」などと、手持ちのカードをうまく使ってアドバイスした。
商店街店主の「自転車が走って危ない」という困り事には、「高校生」と「運動会」のカードを使った院生が「自転車を押すことを、運動会の競技にするといい」との解決策を出し、市職員の坂井翔馬さんは「実際に市民のアイデアから生まれた『押しチャリンピック』というイベントがある」と驚いていた。
カードゲーム「ATTF2」には、中平特任教授も開発に携わった。僧侶やお寺が直面する地域課題・社会課題はメディアという遠いところではなく、実生活の「声」の中にこそあるという視点を持ってもらおうと、講義に取り入れたという。
また、現役の行政職員に参加してもらうことで、行政と市民、宗教者・宗教施設の協働の可能性を模索し、視野を広げる狙いもある。
講義で中平特任教授は「きいてカード」と「おたからカード」の両方にある「空き家」を例に、誰かの困り事は誰かの資源になり得るという視点を示した。「協力者が少しずつ関わると、小さな輪が広がっていく。地域の資源としてお寺を活用してほしい」と述べた。

受講した院生の菊川尚悟さん(24)は「配られた手札でいかに戦うか。現場に立ったときに楽しむことが大事だと思った」。古川晃大さん(22)は「地域資源が『これだけしかない』と考えるのでなく、『こんなにある』と考えて実践したい」と語った。
将来は実家のお寺を継ぐ予定という藤範依紗さん(22)は「地域の課題は自分の課題でもある。お寺は地域の人と関わっていく存在。一緒に活動していきたい」と話した。
尼崎市はATTF2を他の自治体にも貸し出している。職員の池上日向子さんは「自分たちの地域のおたからカードをつくり、魅力の再発見につなげてもらえれば」と語った。