2025年9月24日
※文化時報2025年7月1日号の掲載記事です。
真言宗病苦研究会は6月18日、高野山真言宗弘明寺(美松寛昭住職、横浜市南区)で、小児がんの子どもと家族をテーマにした講演会を行った。神奈川県立こども医療センター血液・腫瘍科の栁町昌克医師を講師に招き、檀信徒を中心に約20人が聴講した。
栁町医師は白血病や脳脊髄腫瘍、悪性リンパ腫などの小児がんは小児期の死因の第1位だが、化学療法の急速な進歩で治癒率は飛躍的に向上し、副作用も緩和している現状を解説。院内学級での子どもたちの生活にも触れ、「治療は苦しいこともあるが、大人になったときに貴重な体験だったと肯定的に捉えることもできる」と指摘した。

一方、小児がんの子どもを持つ家族は経済的、時間的な負担が大きく、心身にストレスを受けるため「第二の患者」と呼ばれている実情を話した。
同医療センターは、栁町医師らの呼びかけで2020年、小児がんの子どもと家族を支える地域ボランティア団体「ちあふぁみ!」を設立。募金活動などを行っている。きょうだいの預かり保育や家族のメンタルサポート、患者家族滞在施設の支援、子ども向け絵本の贈呈など多岐にわたる施策を打ち出している。
最近では地元企業の支援も獲得。栁町医師は「子どもは一時的に入院しても必ず地域に戻ってくる。すぐそばで病気と闘っている人を応援してほしい」と訴えている。
同研究会はこれまでも医療関係者を招いて講演会を実施してきた。約10年間、緩和ケア病棟で医療ボランティアを経験した美松住職は「病に苦しむ人や家族を、さまざまな立場から救いたい。宗教と医療が連携し役立つ方策を考え続けていきたい」と話した。講演後には護摩供を営み、参加者一同で無病息災を祈った。