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「助けて」言えるまちに 抱樸の36年、展示で紹介

2025年11月1日

※文化時報2025年8月12日号の掲載記事です。

 生活困窮者支援を中心に多様な社会問題に取り組む認定NPO法人抱樸(ほうぼく)(奥田知志理事長、北九州市八幡東区)は7月31日~8月7日、東京都中央区の書店「教文館」で同法人の36年の活動を伝える展覧会を開催した。

 抱樸とは、原木・荒木をそのまま抱くことを意味し、人をありのままに受け止め、誰もが「助けて」と言える社会を目指す。1988(昭和63)年に活動を開始し、ホームレスの人、孤立する人、障害者、高齢者、子ども・若者への支援や刑務所出所者の更生など、多様な社会課題に向き合ってきた。

 2026年秋に北九州市内で開設を目指す「希望のまち」は地上3階建てで、生活サポートセンター、救護所、カフェ・レストラン、避難所など多くの設備を持つ。奥田理事長は「単身・孤立世帯が増える中、家族機能を持つコミュニティーをつくりたい」と話しており、全国へのロールモデルとして発信する。

:抱樸の36年に及ぶ活動が紹介された展示会場=1日、東京都中央区
抱樸の36年に及ぶ活動が紹介された展示会場=1日、東京都中央区

 会場では抱樸の設立以来の年表や写真、支援者のメッセージなどが展示され、多くの賛同者や福祉活動に興味を持つ人らが訪れた。

排除する発想に警鐘

 期間中の1日には奥田理事長による「おはなし会」が行われ、40人以上が参加した。

 奥田理事長は、相模原障害者施設殺傷事件で19人を刺殺した植松聖死刑囚と面会した際のエピソードを語り、動機について言及。「障害者は迷惑な存在で『抹殺するのは公益だ』と主張する彼の思考の底には、社会の暗い影が映る」と述べた。

「生きていることに意味がある」と説く奥田理事長=1日
「生きていることに意味がある」と説く奥田理事長=1日

 その上で「競争や格差が拡大する中、厭世(えんせい)的で投げやりな若者が増え、命に上下をつけているのではないか」と指摘。先の参議院選挙にも触れ「『日本人ファースト』などと、人に分断線をつける発想はどうなのか。外国人の次は、高齢者や障害者が排除される可能性がないとはいえない」と警鐘を鳴らした。

 また「生きる意味とは何かを考えるのは難しいが、『生きていることに意味がある』と言い切ることが大切。そんな『希望のまち』をつくりたい」と語り掛けた。

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