2025年11月20日
※文化時報2025年9月26日号の掲載記事です。
こども家庭庁は12日、教員らの性犯罪歴を確認する「日本版DBS」のガイドライン策定に向けた中間とりまとめ案を、有識者検討会に示した。制度の骨格が固まり、宗門校や寺院・教会が運営する保育所・幼稚園のみならず、地域の子ども支援や居場所づくりに携わる宗教者にも直結する局面に入った。

日本版DBSは、2024年6月に成立した「こども性暴力防止法」に基づく。年内にガイドラインを定め、26年12月の施行・運用開始を目指す。学校や保育所・幼稚園には、国への照会による職員の性犯罪歴の確認が義務づけられ、施行時の現職者も対象となる。
適用範囲は民間事業者にも及ぶ。学習塾やスポーツクラブ、学習支援を行う子ども食堂などは、要件を満たせば制度を利用でき、学校と連携して休日・放課後に「地域学校協働活動」を行う寺院も想定されている。
利用する事業者は認定マークを広告などで表示できるため、性犯罪歴のチェックを済ませたことを周知できる。保護者にとっては安心材料となり、子どもを預けるかどうかの判断基準になり得る。
一方、性犯罪歴は「要配慮個人情報」であり、持つこと自体がリスクだ。こども性暴力防止法は帳簿を作成・保存する義務を定めており、第三者に情報を漏洩すれば罰せられる。制度を利用するなら、情報管理体制を構築する必要があろう。
中間とりまとめ案は、防犯カメラが性暴力の抑止やトラブル防止につながると指摘し、面談室など子どもと一対一にならざるを得ない場所や死角になりやすい場所に設置することも有効であると踏み込んだ。
複数の大人で対応することや見通しのいい導線にすることは当然必要だが、お寺や教会の礼拝空間に常時カメラを向けることには慎重になるべきだ。子どもたちの「信教の自由」を守ることもまた、安全・安心に欠かせないことを忘れてはならない。
今回の案をつくるに当たって、こども家庭庁は中学生・高校生から意見を聴き取った。こども基本法は、年齢や発達の程度に応じた意見表明の機会の確保と、意見の尊重を掲げている。お寺や教会もまた同様の精神で、子どもと話し合いながら、性被害の防止に取り組むべきである。
お寺や教会は、子どもたちが健やかに育つ場となることを地域から願われている。日本版DBSによって社会が子どもの安全を最優先にするのなら、宗教界は先頭に立ってその理念を体現してほしい。制度開始に対応できるよう、今のうちから準備を進めることが欠かせない。