2025年12月2日
※文化時報2025年10月14日号の掲載記事です。
NPO法人これからの葬送を考える会九州は5日、事務局を置く日蓮宗妙瑞寺(菊池泰啓住職、大分市)で元毎日新聞専門編集委員のライター、滝野隆浩氏を招いて講演会を開いた。「最期のかたちも人それぞれ~多様化する生き方の中での死と葬送」をテーマにした連続講座の第3回で、オンラインと会場で計20人以上が聴講した。

滝野氏は、神奈川県横須賀市が「引き取り手のない遺骨」の急増に対応するために始めた終活関連事業などについて紹介。孤立死の手前には「身寄りなし」「おひとりさま」といった問題があり、家族がいることを前提とした日本の社会制度が背景にあると説明した。
その上で日常生活の困り事を、現場の福祉職らが制度外の「シャドーワーク」として、無報酬で支えてきた現実があると指摘。国が対策に乗り出したものの、行政や民間に全て委ねるのは不可能だとし、「準備と覚悟を持ち、自分らしい『生き切り方』を考える必要がある」と説いた。
お寺の役割についても言及。お産の前後を意味する「周産期」になぞらえ、看取(みと)りから葬儀・埋葬までの「周死期」の不安に対応すべきだと強調し、「誰もが『身寄りなし』に直面する。地域の公共財としてのお寺の力に期待したい。少なくとも緊急連絡先となって、人生最終盤の不安解消に向き合ってほしい」と呼びかけた。
連続講座は5月に開講し、全5回を無料で配信。過去2回は立教大学大学院兼任講師で元朝日新聞記者の星野哲氏と、葬儀社ファイン(大分市)の統括本部長、茶屋元崇行氏が登壇した。次回は12月14日午後2時~3時半、日蓮宗僧侶で妙光寺(新潟市西蒲区)院首の小川英爾氏が講演する。問い合わせは、これからの葬送を考える会九州(097―541―7389)。