2025年11月22日
※文化時報2025年10月3日号の掲載記事です。
金光教大阪センター(若林正信所長、大阪市中央区)は9月17日、今年度の公開講座と研究集会を開き、「ホームレス支援」などに取り組む認定NPO法人抱樸(ほうぼく)(北九州市八幡東区)理事長で東八幡キリスト教会牧師の奥田知志(ともし)さん(62)を講師に招いた。公開講座は「『助けて』と言える社会へ~ひとりにしない支援」と題し、オンライン併用で開催。社会保障の課題や生きづらさと孤立、北九州市で取り組む「希望のまちプロジェクト」など、話題は多岐に及んだ。(主筆 小野木康雄)

奥田さんは、抱樸には「原木・荒木を抱きとめる」という意味があり、「条件を付けずにそのまま出会える社会」を目指して活動していると説明した。
一方で日本の社会保障には「申請主義」という条件が付いており、最も困っている人が相談に来ない傾向があると指摘。自己責任を迫られるため、本人が頼り方を知らず、困った状況に置かれていることを本人自身が分かっていないという問題を挙げた。
また、キリスト教思想家の内村鑑三(1861~1930)が書いた文章「既(すで)に亡国の民たり」を引用しながら、米国や日本で蔓延(まんえん)する「○○ファースト」という言葉に対し、「自分の幸福だけを考える国は、いずれ滅びる」と批判。ただ、それは「あなたが一番」と言われてほっとした人がたくさんいたということでもあると分析し、「ひとりにしない支援」の大切さを訴えた。
さらに、弱肉強食ではなく「弱者共存」の考え方こそが、人類の歩んできた歴史であると強調。本人が自立を諦めず立ち上がる気になるには、周囲に諦めない人がいるかどうかがポイントだとして、「僕が僕のことを諦めても、神様や仏様は僕のことを諦めない」という「絶対的他者性」が宗教の本質だと説いた。
2026年秋に北九州市内で開設予定の「希望のまち」については、「助けて」と言えるまち▽まちを大きな家族に(家族機能の社会化)▽まちが子どもを育てる(相続の社会化)―を目的にしている、と紹介した。
引き続き行われた研究集会は、奥田さんを講師に、金光教教師や有識者ら9人が出席。若林所長が冒頭、「生きづらさを抱える現代社会で、困難な状況に置かれた人が少しでも救われることを願い、金光教人として何をさせてもらえるのか、課題と今後の可能性を考えたい」と開催趣旨を説明した。

宗教者や研究者らでつくる「支縁のまちネットワーク」の共同代表を務める宮本要太郎関西大学教授は、「伴走型支援」を徹底している抱樸の理念をたたえつつ、支援疲れや燃え尽き症候群に陥る懸念について奥田さんに尋ねた。
奥田さんは、課題が解決するかどうかではなく、つながり続けるのが伴走型支援であると指摘。支援者は解決へのプレッシャーや力量不足だと責められる恐れを持つことがなく、「共にいることに意味を見いだす」と語った。
他の参加者からは、宗教者としての活動と家庭や社会活動のバランスに関する質問もあった。
奥田さんは、バランスを取ることを気にするあまり教会から主要メンバーが去ってしまったという過去の失敗談を明かし、「牧師を100%やる、ホームレス支援も100%やる」との方針を信徒らに伝えていると話した。
