検索ページへ 検索ページへ
メニュー
メニュー
TOP > 福祉仏教ピックアップ > 『文化時報』掲載記事 > 対話でコンパッション考える 医師・僧侶・元患者

つながる

福祉仏教ピックアップ

対話でコンパッション考える 医師・僧侶・元患者

2025年12月26日

※文化時報2025年11月4日号の掲載記事です。

 大阪市天王寺区の浄土宗應典院(秋田光彦住職)は10月25日、コンパッション・コミュニティー(CC)=用語解説=について考えるフォーラム「『対話』は、いのちを救えるか」を開いた。医師、僧侶、がん経験者が登壇。対話をキーワードに、当事者同士が支え合う場として、CCがどのように作用していくのかを語り合った。(大橋学修)

 訪問診療で緩和ケアを行い、遺族や患者同士のサロンも開いている「つながりの森ホームケアクリニック」(兵庫県川西市)の森一郎院長は、医療だけでは患者をケアしきれず、遺族も社会的なつながりが希薄なほど抑うつ症状になる傾向があると明かした。

 人生の課題として地域全体で受け止めてきた死が、医療技術の問題になったことが原因だと指摘。「苦しい思いをしている人も、対話によって雲が晴れたような気持ちになれる。サロン活動の大切さを感じる」と話した。

 これまでの13年間でがんの再発と転移を繰り返してきた谷島雄一郎氏は、がんの経験に新しい価値を見いだすプロジェクト「ダカラコソクリエイト」や、がんをはじめとする生きづらさをカジュアルに話せる「カラクリLab.」(大阪市北区)について紹介した。「当事者と専門家だけでは解決しない。悩みは日常の中にある。事実は変えられないが、意味は変えられる」と力を込めた。

(画像1アイキャッチ兼用:コンパッション・コミュニティーを考えるフォーラムに登壇した大河内住職、がん経験者の谷島氏、森医師(左から))
コンパッション・コミュニティーを考えるフォーラムに登壇した大河内住職、がん経験者の谷島氏、森医師(左から)

 チャプレン=用語解説=としても活動する浄土宗願生寺(大阪市住吉区)の大河内大博住職は、看護師の健康相談と介護者の分かち合い、障害のある子を持つ親の語り合いを同時開催する「ごちゃまぜカフェ」の活動について説明。地域の人々と可能な限りつながろうとしていることを伝えた。

 「当事者は『悩みを分かってほしい』と思う一方で、『分かってたまるか』と感じている。そんな相反する思いを受け止める場がCCであり、それを育むのがお寺ではないか」と語った。

専門家は家族と同列

 CCは、医療や福祉の専門家でつくる体制の中に患者が迎え入れられる従来の緩和ケアと異なり、家族や友人と同列の存在として専門家が位置づけられている。死と喪失を普遍のものとして社会全体で捉え、専門家に任せきりにしないことが想定されている。

 ただ、死や喪失に直面した人々とそうでない人々をどのようにつなげるか、死を忌み嫌う社会の意識をどのように変えていくのかも課題となっている。

(画像2:應典院の秋田光彦住職)
應典院の秋田光彦住職

 應典院は、弔いの文化を持ち、人を救う慈悲の営みを中核に置くお寺だからこそ、CCの形成に寄与できると捉えている。秋田住職は「生や死の問題は地域社会に開かれた形で語られるべきだ。医療や終活とは異なる視点から、地域に埋もれた物語や関係性を掘り起こし、市民の声に耳を傾けることが鍵になる」と話している。

【用語解説】コンパッション・コミュニティー(CC)

 思いやりや慈悲と訳される「コンパッション」に根差した地域社会における緩和ケアのモデル。医療中心ではなく、老、病、死や喪失を抱える市民同士が当事者として共感し、支え合う。米バーモント大学臨床教授のアラン・ケレハー氏が提唱した。

【用語解説】チャプレン

 主にキリスト教で、教会以外の施設・団体で心のケアに当たる聖職者。仏教僧侶などほかの宗教者もいる。日本では主に病院で活動しており、海外には学校や軍隊などで働く聖職者もいる。

おすすめ記事

error: コンテンツは保護されています