検索ページへ 検索ページへ
メニュー
メニュー
TOP > 福祉仏教ピックアップ > 『文化時報』掲載記事 > 「お寺に適した活動」介護者カフェ、立ち上げ講座

つながる

福祉仏教ピックアップ

「お寺に適した活動」介護者カフェ、立ち上げ講座

2026年1月15日

※文化時報2025年11月18日号の掲載記事です。

 浄土宗は、教化研修会館「源光院」(京都市東山区)と東京宗務庁(東京都港区)で介護者カフェ=用語解説=の立ち上げ講座を開催した。11人が受講し、立ち上げ支援員の小川有閑・蓮宝寺(東京都府中市)住職が介護者カフェの意義と始め方を講義。医師で東京都健康長寿医療センター研究所の岡村毅氏も登壇し、認知症でも豊かに暮らせる社会になるには、お寺や僧侶の役割が大きいと伝えた。(坂本由理)

 立ち上げ講座は10月22日、両会場をオンラインで結んで実施した。

 小川住職は、介護に疲れ果てた末の殺人事件で加害者に同情の声が集まるのは、それだけ介護の過酷さを実感している人が多いからだと問題提起。「月参りなどで、外からは見えない家族の事情に気付けるのがわれわれだ」と呼びかけ、介護者カフェは「凡夫が凡夫に寄り添うこと」を重視した浄土宗のお寺に適した活動だと強調した。

 立ち上げにあたっては、地域包括支援センター=用語解説=や社会福祉協議会、行政へのアプローチやチラシ作りなどで、支援員が立ち会ってサポートすると説明した。

 岡村氏は、認知症の解説とともに独居高齢者の増加や未婚率の上昇などに触れ、当事者が苦しんでいるのは、医療だけでは解決しない「孤立・孤独」だと語った。

 そこにお寺という「最後に頼れる場所」があると思えるだけで、大きな助けになると指摘。「読経ができる」「人の話を聞き慣れている」「高齢者と接し慣れている」の三拍子がそろった僧侶は、サポーターとして最適な存在だとの考えを示した。

行政からも感謝

 講義後には、実際に浄土宗の支援を受けながら介護者カフェを立ち上げた2カ寺が事例を報告した。

 浄福寺(髙橋弘道住職、千葉県香取市)の寺庭婦人で保育士の髙橋啓子さんは、忙しい住職に変わって説明会に参加し、すぐに立ち上げを決めた。お寺と隣接する地域交流センターで、ワークショップを組み合わせながら開催している。薬剤師が行った講座は好評だったという。

(画像アイキャッチ兼用:模擬カフェで、場をほぐす遊びを教える浄福寺の髙橋さん(左奥)。右奥は小川住職=京都市東山区の源光院)
模擬カフェで、場をほぐす遊びを教える浄福寺の髙橋さん(左奥)。右奥は小川住職=京都市東山区の源光院

 大王寺(大阪府高石市)の佐藤玄徳住職は、最初は緊張している人も、回を重ねるごとに仲間ができ、話す内容が深いものになっていくと伝えた。

 その後のパネルディスカッションや模擬カフェでは、受講者らが積極的に質問。参加者が少ない場合の対応について問われると、講師は「その分じっくり話が聞ける。続けることが大事」と答え、「難しい相談が来たらどうすればいいか」との不安には「解決しようとしなくていい。皆で安心して心の内を話せる場があるだけで救われる」などと応じていた。

 行政や公的機関からは「介護で困っている人の生の声が聞けて良かった」などと感謝されることが多いといい、岡村氏は「靴を脱いでお香の香りがする寺院で悩み事を打ち明ける。それだけで救われる人が大勢いる」と語った。

【用語解説】介護者カフェ

 在宅介護の介護者(ケアラー)らが集まり、悩みや疑問を自由に語り合うことで、分かち合いや情報交換をする場。「ケアラーズカフェ」とも呼ばれる。主にNPO法人や自治体などが行っているが、浄土宗もお寺での開催に取り組んでいる。孤立を防ぐ活動として注目される。

【用語解説】地域包括支援センター

 介護や医療、保健、福祉などの側面から高齢者を支える「総合相談窓口」。保健師や社会福祉士、ケアマネジャーなどの専門職員が、介護や介護予防、保健福祉の各サービス、日常生活支援の相談に連携して応じる。設置主体は各市町村だが、大半は社会福祉法人や医療法人、民間企業などに委託し運営されている。

おすすめ記事

error: コンテンツは保護されています