2023年2月20日
※文化時報2023年1月17日号の掲載記事です。
仏教精神に基づいて社会福祉活動を行う団体に資金を助成する認定NPO法人メッターフレンズ(大阪市西区)が今年、結成5周年を迎える。高野山真言宗遍照寺(横浜市保土ケ谷区)の柴義彰住職ら超宗派の僧侶が、「NPOを支援するNPO」を掲げて設立した団体。最大の特色は、助成金を人件費に充てられることだという。(大橋学修)
メッターフレンズは、子育て支援に取り組む一般社団法人メッター(今城良瑞理事長、大阪市西区)の姉妹団体。菩薩行「抜苦与楽」の実践を理念とする。柴住職が理事長を務めており、認定NPO法人おてらおやつクラブ(奈良県田原本町)の松島靖朗代表理事や高野山真言宗太融寺の麻生祥光住職らが理事に名を連ねる。
助成は団体支援と事業支援の2種類。団体支援は、全ての事業に公益性と継続性があると認められる場合、年間運営費の70%を上限に交付。事業支援は1件当たり10万円以内としている。いずれも人件費に使えるという。
これまでに延べ9団体・9事業に助成した。活動内容は子育て支援や子どもの貧困問題への対処、自死遺族の分かち合い場の運営、バングラデシュの少数民族支援など多岐にわたる。
助成金の原資は寄付と賛助会員の会費で、2021年度だけで761万7千円、累計で2238万円が集まったという。
事業報告会を兼ね、助成先の活動を周知する講演会も行っており、22年11月に太融寺で開かれた第2回講演会には、自死遺族を支える「わかちあいの会和歌山『うめの花』」の会長で高野山大学准教授の森崎雅好氏が登壇した。
ジレンマ克服、心つなぐ
柴住職は2011年の東日本大震災で被災地に入って活動した。その際、全国から訪れたボランティアが、熱い思いとは裏腹に、資金不足で活動を続けられない現実を見てきた。
一方で自身は法務が多忙となり、「宗教者として社会貢献したいのに、動けない」というジレンマを抱えることになった。そこで、お寺の収入をボランティアの活動資金として拠出することを着想したという。
これがきっかけとなり、一般社団法人メッターの支援を受けて18年4月、メッターフレンズの設立総会を開催。同年8月に法人登記し、22年6月には認定NPO法人となった。
柴住職は「社会課題に向き合う人たちが資金不足で動けなくなるのは、社会的な損失」と強調。「お金という道具を用いて、困窮している方、助けたいと願って活動する方、活動を支えたいと思う方の三者の心をつなぐ役割を果たしたい」と話している。