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➄ゆっくり過ごす「安置葬」3割超 想送庵カノン

2024年6月14日

※文化時報2024年1月16日号の掲載記事です。

 貸葬儀場と遺体安置所を兼ね備えた想送庵カノン(東京都葛飾区)が「安置葬」を提案して3年が過ぎた。通夜と葬儀・告別式などの儀式よりも、「故人と一緒にゆっくり過ごす」ことを大切にした新しい弔い方だ。安置葬を選ぶ遺族は33%となり、2年前に比べ9ポイント増と着実に伸びている。

 カノンは、あなたを忘れない株式会社(三村麻子社長)が2019年1月に開設した。看護学校の空き校舎をリノベーションし、大中小合わせて14室を式場として貸している。これらの部屋は、葬儀を行わない場合でも安置室として利用できる。面会専用室も別に3室設けている。

看護学校空き校舎をリノベーションしたカノン
看護学校空き校舎をリノベーションしたカノン

儀式に価値を感じない

 22年10月1日~23年9月30日の1年間の利用者数は、前年同期比2倍超と好調に推移。利用者の内訳は「安置期間中に2回以上の面会」が42%で最も多く、以下、「付き添い・宿泊」33%、「面会1回」22%、「面会なし」3%となっていた。

 この中で、「付き添い・宿泊」を選んだ遺族のほとんどは通夜と葬儀・告別式などの儀式を行っておらず、カノンが提案している安置葬のコンセプト通りに利用している。20年9月1日~21年5月31日の割合と比べると、9ポイント増加している。

 その要因について三村社長は、付き添い・宿泊を選択する人たちの特徴にあるとみている。一つは故人への愛情が深く、感謝の思いがあること。もう一つは、儀式に価値を感じていないことだという。文字通りの家族葬が多くなり、世間体を気にしなくて済むようになったことが背景にある。

安置葬では家族以外の人もお別れに訪れる
安置葬では家族以外の人もお別れに訪れる

 「これら二つの要因を考え合わせると、故人を送るときには何が大事なのかに気付いた人たちが、付き添い・宿泊を選んでいると感じる」と三村社長は話す。

時短葬儀の弊害減らす

 「付き添い・宿泊」を選んだ遺族は、儀式も行わずにどのように過ごしているのか。三村社長は「家族で行く温泉旅行と同じで、皆でいろいろな話をしながら過ごしている人たちが多い」という。

 加えて、故人が好きだった音楽を家族が演奏する、酒好きだった父親を親族が囲んで飲み会をする、故人と親しかった友人を招いて食事会をする、故人の孫が折り紙を使った立体花を作って棺に納める―など、思い思いに過ごしているそうだ。

親しい人を招いて会食をする安置葬もある
親しい人を招いて会食をする安置葬もある

 三村社長は「『安置葬』を提案した一番の理由は、通夜と葬儀・告別式だけでは、遺族が大切な人の死を受け入れてきちんとお別れするには短すぎて、グリーフ(悲嘆)を抱えるなどの弊害があるから」と明かし、今後の方針をこう語る。

 「時短化する葬儀の弊害を減らすために、今後も故人との最期の時間を十分に過ごすことを提案し続ける」

塚本の目

 「付き添い・宿泊」以外の67%の遺族の弔い方はどうか。①式を行うのは9割、直葬は1割②式を行う利用者のうち、宗教葬は7割、無宗教葬は3割、③宗教葬を行う利用者のうち、一日葬は9割、二日葬は1割―となっているという。

 この数字から見える特徴の一つは、儀式よりも「故人と一緒に過ごす」ことを重視しているカノンであっても、宗教葬が利用者全体の42%を占めていることだ。


安置葬では供花をブーケスタイルにして飾ることが多い
安置葬では供花をブーケスタイルにして飾ることが多い

 三村社長によれば、カノンでは、利用依頼時の相談内容を踏まえて提携の葬儀社を紹介している。遺族は9割方、宗教葬を求めていないが、無宗教葬だと間が持たず、宗教葬の方が葬儀社にとっても簡単なので、勧めている実態があるという。

 もう一つの特徴は、従来型の通夜と葬儀・告別式を行う二日葬を選ぶ人は、全体のうちわずか4%に過ぎないということだ。

 その理由について三村社長は「コロナ禍で、それまで仏教的に2日必要だと言っていたお寺さんまで、1日でもやむを得ないと言いだしたから」だと明かす。それによって葬儀社だけでなく、一般にも一日葬でいいという考え方が定着してしまったのだという。

 宗教葬を求める人が少なく、宗教葬でも一日葬が多くなっているのは、カノンが儀式より「故人と一緒に過ごす」ことを重視していることもあるのかもしれない。

 しかし、宗教者・施設は、宗教離れ、儀式離れ、檀家離れが深刻化しているリアルな実例として受け止め、今後の在り方を考える必要があるだろう。

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