2025年10月16日
※文化時報2025年7月29日号の掲載記事です。
真宗10派でつくる真宗教団連合東京支部は18日、浄土真宗本願寺派築地本願寺(東京都中央区)で「『共生社会』について考える」をテーマに公開講演会を開いた。聞こえない・聞こえにくい人のためのオリンピック「デフリンピック」の第25回夏季大会が今年11月に東京で開催されるのに合わせ、前回ブラジル大会の卓球男子団体で銅メダルを獲得した亀澤史憲選手を講師に招いた。(山根陽一)

「いのちあるすべての存在が互いに響き合う世界、誰一人取り残されることなく、共に生きることのできる世界」を目指す真宗教団連合として、仏法の「聴聞」を中心とする伝道に、聴覚障害のある人が接する機会が少ないのではないか―との課題を持って開催。各派の門徒らに参加を呼び掛けた。講演には字幕と手話通訳をつけた。
亀澤選手は、聴覚障害は多様であり、手話ができない人も普通に話す人もいることから「目の前の人」を理解する想像力が重要だと指摘した。
自身は補聴器を着けた上で発語しており、発音訓練を繰り返し、「健常者に負けない、一人の人間として認めてほしい」との思いでスポーツに打ち込んできたと語った。コロナ禍ではマスク越しの会話に苦労したが、手話や簡単なジェスチャー、さまざまな配慮でコミュニケーションができると強調した。
浄土真宗本願寺派明圓寺(広島県三原市)衆徒で、手話を使って法話を行う内藤良誠氏は「手話は、日本語や英語と同じ言葉の一つ。多くの自治体で手話言語条例が施行されている」と説明。歎異抄に触れつつ「親鸞聖人は、無常の世界で苦しむ人々を決して見捨てない。ずっとあなたを見ている」と説いた。

真宗教団連合東京支部長を務める真宗大谷派東京教務所長の中根慶滋氏は、あいさつで「右手に智慧(ちえ)、左手に慈悲の心を持つ阿弥陀様は全てのものを救う。誰もが安心して生きられる共生社会を目指すことが、その教えだ」と述べた。
「第25回夏季デフリンピック競技大会 東京2025」は100周年記念大会で、日本では初の開催。11月15~26日、70~80カ国・地域、選手・役員スタッフら約6千人が参加し、21競技が行われる。