2025年1月29日
高校生の頃に交通事故で半身不随になってしまった高齢男性がいました。この男性はバイクが大好きで、事故に遭う前から「いつかはハーレーダビッドソンに乗りたい」という夢を持っていました。
しかし、この体ではバイクには乗ることはできません。「何とか、50年来の夢をかなえてあげたい」。担当のケアマネジャーはそう考え、仕事仲間に連絡を取って、夢の実現に向けて話し合いました。
出た結論は「バイクには乗れないが、サイドカーなら乗れるだろう」ということ。そこで、この男性を乗せてのツーリング企画がスタートしました。
圧巻だったのはツーリング当日。企画に携わった人たちが知り合いなどに声をかけた結果、この男性を乗せたサイドカーだけでなく、多くのハーレーダビッドソンが「一緒に走ろう」と集結したそうです。きっと、男性にとっては夢のようなひとときだったことでしょう。
この企画に携わった人たちの中で、男性に直接関わっているのは担当ケアマネジャーだけでした。もし、このケアマネジャーが「バイクのことは分からないから」と放置してしまっていたら、男性の夢は実現しなかったでしょう。本来は無関係だった人たちにまで広く声をかけたことで、大掛かりなイベントができたのです。
介護の現場では、何か新しいイベントなどを始めようとすると「人手がない」「予算がない」「ノウハウがない」と「できない理由」を探しがちです。
しかし、情報を広く求めていけば、大抵のイベントが実現可能です。大切なのは広い視野です。利用者から「○○をしたい」という夢を聞いたときに、あなたの頭の中には「その実現に協力してくれそうな人」の顔が、何人思い浮かぶでしょうか?