2024年3月5日
今日と明日と明後日のことぐらいを考えていればいいんだよ。
――ロックミュージシャン、忌野清志郎(1951~2009)
「キングオブロック」の異名を持つ忌野清志郎は、2009(平成21)年5月2日にがん性リンパ管症によって58年の人生に幕を下ろしました。
中学生の時から同級生とバンドを結成し、1970年にロックバンド「RCサクセション」としてデビュー。日本のロックミュージックの基礎を築き上げ、91年に活動休止するまで波乱に富んだ音楽活動を展開します。その後はソロや新たなグループでも活躍し、多くのヒット曲を世に送り出しました。
その型破りなスタイルはバンドメンバーや所属するレコード会社などとの軋轢(あつれき)を生みましたが、現在活躍している多くのアーティストにも影響を与えています。
そんな彼が遺(のこ)したものの一つが、この言葉です。
過去を振り返り未来を憂えても、現在の自分にはどうすることもできません。手が届く範囲のことだけに向き合っていくしかないのです。
仏教の教えに、「過去は追ってはならない。未来は待ってはならない。ただ現在の一瞬だけを、強く生きねばならない」というものがあります。これは『法句経』の一節を意訳したものとされていますが、忌野清志郎の言葉と通ずるところがあります。「人生は苦なり」と説いたお釈迦様は、今を精一杯生きることを大切にしていたのです。
未来が必ずしも良いものだとは限りません。先の見えない不安に押しつぶされてしまいそうな時もあるでしょう。ですが、目の前の一瞬一秒のことだけを見据えれば、とりあえず明日か明後日くらいまでは進んでいくことができそうです。