2026年3月26日
※文化時報2026年2月17日号の掲載記事です。
真宗興正派東讃教区教務所(辻仁龍教務所長)は8日、高松興正寺別院(高松市)で「聞法のつどい」を開催した。料理研究家の土井善晴さん(69)が「一汁一菜はお念仏」との講題で登壇。汁・飯・香という必要最低限の和食にこそ、人間が豊かな自然と結びつき、平和に生きていく思想があると伝えた。

土井さんは冒頭、欧州各地で料理人修業をした経験を基に、西洋料理と和食の違いを説明した。
西洋料理は、厳密な計量や温度管理を定めたレシピに沿って食材を「混ぜる」が、和食はそれぞれの持ち味を尊重して「和(あ)える」という。
和食は季節や鮮度による食材の変化をそのまま受け入れ、料理の仕上がりがぶれることも前提につくる。土井さんは、ここから「自然への敬意や食材への感謝が生まれる」と指摘した。
また、「一汁一菜は人間の生きる原点。最善の道がある」と強調。料理を通じて自然の恵みに感謝する姿勢は、あるがままを受け入れて阿弥陀仏に帰依する「南無阿弥陀仏」の精神につながると語った。
土井さんは現在、全国で行われる報恩講を巡り、「お斎(とき)」を研究しているという。地域に根差した食材を生かし、伝統のやり方で調理する坊守や門徒の姿は「食材やご縁への感謝にあふれていた」と回想。「お斎の文化や心が次世代にも引き継がれ、食の念仏を通して心豊かな生き方が広がることを願う」と結んだ。