2025年7月28日
※文化時報2025年4月22日号の掲載記事です。
3月16日、大阪で「生きづらさを抱える子どもたち」というテーマで研修会をさせていただきました。主催はNPO法人いちごの会でしたが、大阪府の依存症早期介入・回復継続支援事業の助成金を使わせていただき企画しました。

研修会は今回が4回目で、精神科医の松本俊彦さん、米シアトルのリカバリーハイスクール(依存症を持つ高校生が通う高校)を一緒に訪問した鈴木葉菜さん、兵庫県加古川市にある少年院・加古川学園の福祉専門官・荒川久美子さん、同県尼崎市内の公立中学校の養護教諭の先生にも中学生や高校生の置かれた状況を話していただきました。
今回私がこのテーマをより深めたいと思ったのは、いるはずの人たちが偏見によっていないことになっている現実を感じ、なんとか顕在化されないかと思ったからでした。
アルコールや薬物使用、自傷行為やいろいろな問題行動の背景にあるのが生きづらさなんだと感じてきました。しかし、生きづらさが何かしらの問題行為になったり犯罪として扱われたりした途端、彼らはサポートやつながりのいる存在ではなく、排除の対象になってしまう。
学校でも社会でも同様ですが、サポートやつながりがあって「いる人」と認識されていたら、彼らは「いる人」になりますが、そこに犯罪行為、問題行為が入ってくると途端に排除や罰則の対象となり、さまざまな問題を抱えつつもここに生きる人たちではなくなる。結局、カウントされない人たちになっていく気がします。
そういった社会においての見え方を変えていきたくて、4人の講師の方にそれぞれの現状を話していただきました。
少年院にいる少年たち、中学・高校に通う生徒さん、それらをエビデンス(科学的根拠)ベースで話せる精神科医、一つの解決策として北米の依存症事情を話せる人、それら一つ一つの声が重なり合って、新たな流れが生まれました。会場参加200人、ウェビナー参加500人の大規模な研修会になりましたが、中身は本当にシンプルで、とても大切なテーマでした。
依存症は回復や解決ではなく共存を目指すものならば、今回のように医療や司法、教育、福祉などさまざまな分野の人たちと交流できたことは、本当に意義があったと実感しています。
日本では常識だったことも、北米など違う地域では違う支援のやり方でちゃんと成り立っているんだと感じられた体験は大きかった。依存症者も多様だし、本当に自分が自分でいいんだと実感する時間でした。