2024年12月22日
大みそかにお寺で108回の鐘を突きますが、108は煩悩の数を指すと聞いたことがある人は多いと思います。煩悩とは怒り、ねたみ、執着、無知など、人間を悩ませ苦しませる原因となるもの。では、この108の根拠は何でしょうか。
単に煩悩の数を数えてみたら108種類あったというだけでしょうか。108という数字がどこから出てきたのか、憶測を含めて、世間に出回っているさまざまな説を集めてみました。
まずは四文字熟語の「四苦八苦」。この言葉は実は仏教用語で、人間の苦しみである「生・老・病・死」の四苦(4×9=36)に、別れの苦しみ「愛別離苦」や、憎しみを持つ相手に会わなければならない苦しみ「怨憎会苦」などの八苦(8×9=72)を足すと108になるというもの。「苦」と「九」を掛けた、ややだじゃれめいた説です。
次は気候や季節を表す暦に由来するもの。季節の変わり目を六つに分けた「二十四節気」に、さらに二十四節気を細かく分けた「七十二候」、そして12の月。それらを足すと24+72+12=108となります。いかにも日本的な、繊細で優美な説に思えます。
面白いところでは、インド由来という説。1の1乗、2の2乗、3の3乗を掛けると108になることから、仏教のみならず、ヒンズー教やジャイナ教においても108という数字は特別な意味を持つそうです。
さらにスケールを大きくし、宇宙にも108の神秘を求めることができます。太陽と地球の距離は、太陽の直径の約108倍、つまり太陽を108個並べた距離。そして地球と月の距離も、月の直径の108倍、すなわち月を108個並べた距離になります。
このように煩悩の数といわれる108には、さまざまな説があります。ここに挙げた例以外にも、まだまだたくさん存在する108の由来。なるほどとうなるものから、眉唾ものの珍説まで、お正月の雑談のネタとして披露してみてはいかがでしょうか。